身元保証などの高齢者サポートサービスをめぐる契約トラブルにご注意

近年、高齢者の単独世帯が増加傾向にあるなか1
、高齢者を対象とする、身元保証や日常生活の
支援、死後事務等を行うサービス(以下、身元保証等高齢者サポートサービス2)が広まってきています。
一方で、こうした身元保証等高齢者サポートサービスをめぐり、全国の消費生活センター等には「契約内容をよく理解できていないにもかかわらず、高額な契約をしてしまった」等の契約時
のトラブルのほか、「解約時の返金額に納得できない」等、解約時のトラブルについて相談が寄せられています。
そこで、身元保証等高齢者サポートサービスをめぐる消費者トラブルの防止のため、相談事例を紹介するとともに、消費者への注意喚起を行います。

1.相談事例(カッコ内は受付年月、契約当事者の属性)
【事例1】契約内容がよく分からず高額なので解約したい
今一人暮らしをしている。高齢でもあり、今後入院したり、アパートに入居したりする際の心配が出てきた。福祉サービスの窓口に相談したところ、身元保証などのサポートサービスをする
事業者があることを情報提供され、事業者から話を聞いたうえで申し込みをした。入会金、身元保証支援費等が約40万円かかり、月会費は3,000円である。しかし、よく考えると高額であり、具体的にどのようなサービスを受けられるのか等、契約の内容もよく分からないまま契約してしまったため、不安になった。解約できるか。
(2018年7月受付 80歳代 男性)

【事例2】事業者に勧められるままにサービスを追加して思ったより高額な契約になった他県で介護施設に入所している義母の担当ケアマネジャーから「役所などに手続きをしに行く
とき付添いをするサポートが1時間3,000円で受けられる」という話を聞いた。義母のところへすぐに行くことが難しいという事情もあったため、このサポートを行う事業者に問い合わせたところ「サービスを受ける本人が契約を行い、家族が立ち会う必要がある。難しければ司法書士に立ち合ってもらうことも依頼できる。入会金が10万円、司法書士への依頼料が2万5,000円かかる」と説明された。後日、事業者から「手続きが済んだ」と連絡があった際に「月額1万円で身元保証サービスを付けないと24時間サポートはできない。みんな付けている」と言われたので、身元保証の契約も追加した。その後、契約書類等が届き、入会金や諸費用で総額約30万円かかると記載があった。毎月1万円を長期的に支払っていくことを考えると、費用の負担が大きいように思った。解約したい。
(2018年5月受付 80歳代 女性 ※相談者:50歳代 女性)

【事例3】預託金として100万円を支払うように言われているが、詳細な説明がない
頼れる親族がいない中、知人から紹介されて、身元保証サービスや亡くなった後の事務手続等を代行する事業者とサポート契約をした。費用を支払った記憶があるが、その他に預託金として
100万円を支払うように求められた。契約内容など、その詳細について理解できていなかったこともあり、更なる高額な預託金の支払いを躊 躇していたところ、担当者から「明日どうなるか分からない。一刻も早く預託金を支払うように」と急がされた。詳細な説明もない中で、このような事業者の対応に困惑しているが、どうしたらよいか。
(2018年8月受付 60歳代 女性)

【事例4】契約するつもりのなかったサービスも含まれていた
一人暮らしで今度老人ホームに入居することになったが、入居に際して身元保証が必要と言われ、事業者の身元保証サービスを勧められた。後日、入居予定の老人ホームに来るよう言われ、
事業者の担当者から長時間にわたって説明を受けたが、契約内容を理解できないまま契約し、担当者に100万円を支払った。後になって契約内容を調べたところ、生活支援サービスや葬儀サービスなどが含まれている契約であることが分かった。身元保証以外のサービスを解約することはできるか。 (2018年12月受付 80歳代 女性)
3
【事例5】約束されたサービスが提供されないので事業者に解約を申し出たところ、説明のない
まま精算された入居していた老人ホームから高齢者住宅に転居することにした。身元保証人がいないため転居できないでいたところ、知人に身元保証サービスや死後事務支援等のサポートを行う事業者を勧められた。事業者には「定期的な安否確認等を行うため緊急時の対応もスムーズにできる」と言われ、140万円を支払って契約した。契約から1年程経つが定期的な安否確認がなかったり、緊急対応のために必要な書類が一向に作成されなかったりするなど、事業者に不信感が募ったため、解約を申し入れた。解約は承諾されたが返金額について事業者から何らの説明もないまま、50万円だけが振り込まれた。十分なサービスも受けていないにもかかわらず、納得できない。
(2018年11月受付 70歳代 女性)

2.相談事例からみる問題点
(1)サービス内容や料金等を理解できていないまま契約している
身元保証等高齢者サポートサービスには身元保証だけではなく、日常生活の支援や死後の事務等を行うものもあり、事業者によって提供されるサービスの内容や組み合わせ等は様々です。ま
た料金体系についても、入会金や年会費・月会費を支払う場合のほか、サービス利用回数や利用時間単位により料金が定められている場合があります。
そのため相談事例をみると、高齢者等がサービス内容や料金等について十分に理解できていないままに高額な契約をしているケース(事例1~4)がみられます。具体的には勧誘時に事業者
から「みんな付けている」などと勧められるままにサービスを追加し、費用の負担が大きいと感じているケース(事例2)のほか、契約内容が理解できていない状況で支払いを急がされたケース(事例3)、支払った後で契約したつもりのないサービスが含まれていたことに気付いたケース(事例4)等の相談が寄せられています。

(2)約束されたサービスが提供されないことがある
契約に含まれている定期的な安否確認の連絡がこなかったケース(事例5)や、病院への送迎サービスを契約したのに「今は忙しい」等と送迎を断られたケース等、約束されたサービスの提
供がなかったという相談が寄せられています。
なお、過去には契約後に事業者が破産し、その後のサービスを受けられなかっただけでなく、預けていた金銭が返金されなかったこともありました

4。
(3)解約時の返金をめぐってトラブルになることがある
身元保証等高齢者サポートサービスは継続的な契約をする場合もあり、中途解約をする際に預託金等の返金をめぐってトラブルになることがあります。
相談事例をみると、十分なサービスが提供されないため解約したところ、返金額について事業

平成 28 年4月 27 日に破産手続開始決定を受けた日本ライフ協会と契約していた高齢者等において、契約していたサービスの提供や預託金の返還を受けられない消費者被害が発生した   (参考:消費者委員会「身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての調査報告」(平成 29 年1月))。

4者から説明がないまま精算されたというケース(事例5)のほか、預託金等について、解約時に一切返金しないと言われたり、返金すると言いながら一向に返金されなかったりしてトラブルになったケースもあります。

3.消費者へのアドバイス5
(1)自分の希望をしっかりと伝え、サービス内容や料金等をよく確認しましょう
身元保証等高齢者サポートサービスを契約する場合は、まず自分がどのようなサービスを望んでいるのかを事業者にしっかりと伝えましょう。
そのうえで、提供されるサービスの内容や条件(どのような場合にどのようなサービスが受けられるか)、料金体系(いつ、いくらを、どのサービスに対して支払うのか、支払うことになる総額)等をよく確認しましょう。契約内容がよく分からなかった場合や、事業者に契約を急がされた場合でもその場で契約せず、周囲の人に相談するなどして十分に検討しましょう。
特に死後事務に関するサービスが提供されるのは自身の死後となり、適切にサービスが履行されたのかを確認することができないため、より具体的に契約内容を確認しておきましょう。
なお、自治体が高齢者を支援するサービスを実施している場合もあるため、お住まいの地域で提供されているサービスについても調べてみましょう。

(2)預託金等の用途や解約時の返金に関する条件について予め確認しておきましょう
契約時に預託金等を支払う必要がある場合には、その金銭の用途や目的・管理方法などについ
て契約前に確認しておきましょう 6。
預託金等は、解約時にその全部または一部が返金される場合があります。預託金等の返金につ
いてトラブルにならないように、予め解約時の返金の有無や条件を確認し、不明な点があれば事
業者に十分な説明を求めましょう。実際に解約する場合には、返金額の内訳や算定基準を事業者
に確認しましょう。
(3)契約内容を周囲の人にも理解してもらうよう心がけましょう
突然の事故等が起きた場合等は、せっかくの備えを自分で周囲の人に伝えることができなくな
ることもあります。万が一の時に、自分の代わりに親族や周囲の人が迅速に入院等の手続きを進
めることができるよう、契約しているサービス内容や事業者の連絡先を伝えておいたり、分かり
やすいところに掲示しておいたりしましょう。
(4)契約や解約に際しトラブルになった場合にはすぐに最寄りの消費生活センター等に相談し
ましょう
*消費者ホットライン:「188(いやや!)」番

5 参考資料:厚生労働省、消費者庁による発表情報「身元保証等高齢者サポート事業に関する調査でまとめられた啓発資料」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_018/pdf/caution_018_180905_0001.pdf

 

6 預託金等の名目で支払う金銭には様々な用途があり、サービスへの入会金のほか、病院への入院等で身元保証を行った場合
の費用弁済、生活支援にかかる費用の前受、葬儀や納骨にかかる費用の前受などがある。また預託金等の呼称も事業者によっ
て様々である。

5
最寄りの市区町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号
です。

4.情報提供先

痩身効果・二重価格・シミ消し…消費者庁、1社5商品に措置命令 | 通販通信ECMO
・消費者庁 消費者政策課(法人番号 5000012010024)

内閣府 – Gov base
・内閣府 消費者委員会事務局(法人番号 2000012010019)
・厚生労働省 医政局 総務課(法人番号 6000012070001)
・厚生労働省 老健局 高齢者支援課(法人番号 6000012070001)
・厚生労働省 老健局 振興課(法人番号 6000012070001)

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