2020年2月3日、横浜港に入港したクルーズ客船「ダイヤモンド・プリンセス号」で起こったコロナの集団感染から始まったとも言えるコロナ禍が一段落して間もなく5年。一時は激減したクルーズ客船の運航も昨年から回復の兆しを見せています。
国土交通省が公表している「我が国のクルーズ等の動向について」によると、外航・国内クルーズを利用した日本人乗客数は次のような推移になっています。激動の5年間と言えるでしょう。
・2019年 355,700
・2020年 27,800
・2021年 20,500
・2022年 44,100
・2023年 196,200
2020~22年の低迷期を抜けて上昇に転じたクルーズ乗客数はコロナ禍前の水準には遠く及びませんが、前年に比べると約4.4倍まで回復しています。
ナビットでは、全国の主婦を中心としたモニター会員1000人を対象に「クルーズ客船」についてアンケートを実施しました。
【調査概要】
・調査期間:2024年10月
・調査機関:株式会社ナビット
・調査対象:20代~80代の男女
・有効回答数:1000人
・調査方法:Webアンケート
- 乗ったことのあるのは回答者の1割台
【調査】
質問:クルーズ客船に乗ったことはありますか?(対象:1,000人)

過去にクルーズ客船に乗ったことのある人は138人。意外に少ないのか、あるいは多いのか、あなたの印象はいかがでしょうか?
- クルーズの日数は「1泊2日」が最多
【調査】
質問:クルーズ客船に何泊することが最も多いですか?(対象:1,000人)

乗ったことのある人が対象になりますが、泊る日数は「日帰り」が最も多くて70人。2番目が「1泊2日」の28人でした。1週間未満の国内クルーズが中心ということでしょうか。
- 一緒に乗るのは「家族」「配偶者」「友人」
【調査】
質問:誰とクルーズ客船に乗ることが最も多いですか?(対象:1,000人)

一緒に乗る人は「家族」(66人)、「配偶者」(28人)、「友人」(16人)の上位3つの合計で110人を占めています。
- クルーズを楽しむ理由は多様
【調査】
質問:クルーズ客船を利用した一番の理由は何ですか?(対象:1,000人)

クルーズ客船を利用した理由は、トップの「ゆったりと時間を過ごせるから」が27人で、飛びぬけて多い回答はありません。「豪華だから」(18人)、「日程のプランがあっていたから」(17人)、「景色が楽しめるから」(16人)、「イベントやアクティビティが楽しめるから」(15人)など、楽しむ理由は様々なようです。
- 不安なのは「事故」と「病気」
今回は「クルーズ客船について不安なことがありましたら、教えてください。」というアンケートをフリー回答で実施いたしました。原文を一部ピックアップしてみます。
「いくら広いクルーズ船でも過去の事故等を思い出してしまうため、不安を感じる。」
「座礁した場合、どうなるんだろうかと思い、タイタニックを想像してしまいます。」
「大きいとはいえ孤立した空間なので事故などが起こった時の対応が心配。」
「金額が高めだったり、ドレスコードがあったりと、普通の旅行よりも知らないことが多い。」
- 新規のクルーズ運航計画も目白押し
国土交通省は2024年5月に「クルーズを取り巻く状況」と題した報告を発表。9月には「クルーズ市場を取り巻く最新の動き」を発表しています。その中で、世界のクルーズ人口は「2023年に3170万人とコロナ禍前の2019年比で7%増まで回復しており、2027年には4000万人近くに増加する見通し」との海外の報告を紹介しています。
地域別では北米が17.5%増まで戻ったのに対し、アジアは37.7%減と回復が遅れています。冒頭で紹介したように日本のクルーズ人口もコロナ禍前の水準には戻っていませんが、国交省のレポートでは先行きについて明るいデータが紹介されています。
日本への配船について、オリエンタルランドの「ディズニークルーズ」をはじめ、商船三井クルーズの新ブランド「MITSUI OCEAN CRUISES」など、新しいプロジェクトの動きが活発になっています。
その背景として①クルーズ需要の増加、②船舶の大型化、③オーバーツーリズムの発生、④環境配慮型への切り替わり、⑤AIテクノロジーの進展など環境の変化を挙げています。乗客の若年化も前向きの材料として取り上げられています。クルーズ客船を巡る今後の動きには要注目です。

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