どうなったら認知症なんですか? 認知症のサイン・症状 お困りごとナビ

日本における65歳以上の認知症の人の数は約600万人(2020年現在)と推計され、2025年には約700万人(高齢者の約5人に1人)が認知症になると予測されており、高齢社会の日本では認知症に向けた取組が今後ますます重要になります。

もの忘れ(記憶障害)

☑数分前、数時間前の出来事をすぐ忘れる

☑同じことを何度も言う・聞く

☑しまい忘れや置き忘れが増えて、いつも探し物をしている

☑約束を忘れる

☑昔から知っている物や人の名前が出てこない

☑同じものを何個も買ってくる

時間・場所がわからなくなる

☑日付や曜日がわからなくなる

☑慣れた道で迷うことがある

☑出来事の前後関係がわからなくなる

理解力・判断力が低下する

☑手続きや貯金の出し入れができなくなる

☑状況や説明が理解できなくなる、テレビ番組の内容が理解できなくなる

☑運転などのミスが多くなる

仕事や家事・趣味、身の回りのことができなくなる

☑仕事や家事・趣味の段取りが悪くなる、時間がかかるようになる

☑調理の味付けを間違える、掃除や洗濯がきちんとできなくなる

☑身だしなみを構わなくなる、季節に合った服装を選ぶことができなくなる

☑食べこぼしが増える

☑洗面や入浴の仕方がわからなくなる

☑失禁が増える

認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)には、次のようなものがあります。

行動・心理症状(BPSD)

☑不安、一人になると怖がったり寂しがったりする

☑憂うつでふさぎこむ、何をするのも億劫がる、趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなる

☑怒りっぽくなる、イライラ、些細なことで腹を立てる

☑誰もいないのに、誰かがいると主張する(幻視)

☑自分のものを誰かに盗まれたと疑う(もの盗られ妄想)

☑目的を持って外出しても途中で忘れてしまい帰れなくなってしまう

「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違い

  • もの忘れの為に日常生活に支障をきたしているか
    日常生活で重要ではないことや知識(タレントの名前や昔読んだ本の題名など)を思い出せないのは加齢によるもの忘れの範囲内ですが、自分の経験した出来事を忘れる、大事な約束を忘れるなどの場合は認知症のサインかもしれません。
  • 本人が忘れっぽくなったことを自覚できなくなっているか
    もの忘れがあっても、自覚があり続ける場合は加齢によるもの忘れの範囲内かもしれません。最初はもの忘れを自覚していても、次第にもの忘れをしていることに気づけなくなり、話の中でつじつまを合わせようとすることがあれば認知症のサインかもしれません。
  • もの忘れの範囲は全体か
    経験の一部を忘れるのは加齢によるもの忘れの範囲内ですが、経験全体を忘れるのは認知症のサインかもしれません。例えば、朝ごはんのメニューを詳しく思い出せないなら加齢によるもの忘れでしょうが、朝ごはんを食べたこと自体を忘れるようなら認知症のサインかもしれません。

「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違い(一例)

加齢によるもの忘れ 認知症によるもの忘れ
体験したこと 一部を忘れる
(例:朝ごはんのメニュー)
すべてを忘れている
(例:朝ごはんを食べたこと自体)
学習能力 維持されている 新しいことを覚えられない
もの忘れの自覚 ある なくなる
探し物に対して (自分で)努力して見つけられる いつも探し物をしている
誰かが盗ったなどと、他人のせいにすることがある
日常生活への支障 ない ある
症状の進行 極めて徐々にしか進行しない 進行する

政府広報オンライン
「もし、家族や自分が認知症になったら知っておきたい認知症のキホン」(https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201308/1.html)より抜粋

認知症の治療法

認知症には、根本的な治療が困難な認知症と治療可能な認知症とがあります。
根本的な治療が困難な認知症としては、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などの変性性認知症が挙げられます。
治療可能な認知症としては、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症などの内分泌疾患、ビタミンB1欠乏症・ビタミンB12欠乏症・葉酸欠乏症などの欠乏性疾患・代謝性疾患、自己免疫性疾患、呼吸器・肝臓・腎臓疾患、神経感染症など内科的疾患によって起きる認知症があります。処方薬などの薬剤によっても、認知症のような症状があらわれることがあります。
そのため、認知症かもしれないと思ったら、まずはかかりつけ医に相談し、認知症サポート医や認知症疾患医療センターの専門医療機関を受診しましょう。

早期段階からの対応の重要性

認知症に早期に気づき、対応することは、適切な医療や介護サービス・福祉サービスへのつなぎとなります。また、本人や家族の不安・混乱・戸惑いの期間を短くすることにも大いに有効です。
認知症の効果的な予防法(ここでいう「予防」とは、認知症にならないという意味ではなく、認知症になるのを遅らせる、認知症になっても進行を緩やかにするという意味となります)については、現在も様々な研究が進められています。これまでの多くの研究で、中年期・老年期の運動習慣や定期的な身体活動が、アルツハイマー型認知症を含む認知症の発症率を低下させることが報告されています。また、すでに発症したアルツハイマー型認知症患者の認知機能を改善する効果も少数ですが報告されています。余暇活動も、認知症発症を抑制する効果があると報告されています。
その他に、聴力低下をケアすること、高血圧や糖尿病、肥満などの生活習慣病、抑うつを予防・コントロールすること、喫煙しないこと、社会的孤立を避けることなどにより、認知症の一部は予防できる可能性があるとする研究もあります。睡眠時無呼吸症候群といった睡眠障害が、認知機能低下の発症リスクを高めるという報告もあります。
したがって、適度な運動、バランスの良い食事、夜間の良好な睡眠、余暇活動を楽しむことを生活習慣にとりいれ、高血圧や糖尿病、脂質異常症、肥満などの生活習慣病を治療することが重要です。

 

厚生労働省 Ministry of Health, Labour and Welfarehttps://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html

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