親が高齢であると親の生活やこれからのこと、子である自分は何をすれば良いのか、考えたことはありますか? この記事では、親が入院しても不安にならないために、事前に不安に備える方法を解説します。
記事を読めば、入院したときにかかる費用やお金がないときの対処法がわかるようになります。ぜひ、最後までご覧ください。
親が高齢であるとこれから様々なことが考えられます。
元気そうに見えても高齢の親が倒れる可能性は低くありません。万が一があってからでは遅いです。
「ちゃんと準備をしておけばよかった」そんな後悔をしなくても良いように緊急事態に備えて早いうちから準備をしておくことが大切です。
親が病気で倒れたら?
親が倒れたという連絡は前触れもなく突然やって来ます。
突然のことにパニックになるかもしれませんが、まずは気持ちを落ち着かせ、冷静になりましょう。
緊急な状態であればまずは救急車を呼ぶ事が大前提。元気なうちに「救急相談窓口」が存在してるのかを「地域名 救急相談窓口」と検索をして、確かめておくようにしましょう。
また、各都道府県の「医療情報ネット」を確認すれば、夜間・休日に開いている地域の病院などの情報を得ることができます。緊急時にも慌てないように、対応するようにしましょう。
急に親が入院…よくある不安や困り事に備えよう
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親が高齢になるにつれて、急に入院するリスクも高まります。入院してしまうと、お金の面でも不安です。
親は入院しても十分なお金を持っているのか、入院したときに必要なものはどこにあるのか気になるでしょう。
遠く離れて暮らしていれば、十分な入院資金への備えがあるのかなど親の状況も把握しづらいです。
また、入院したときに取るべき行動は何か決めておかなければなりません。入院してから考えるのでは、間に合わないこともあるためです。
親が入院すると、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?
入院費用として医療費の自己負担割合は原則として70歳未満の場合は3割、70〜74歳であれば2割、75歳以上は1割の負担です。
70歳以上でも現役並みの所得がある方は、3割負担しなければなりません。
親の入院で必要になる費用の種類
親の入院費用の自己負担額で見る相場
以下で詳しく解説します。
親の入院で必要になる費用の種類
入院した場合には、治療費や入院基本料など下記の費用がかかります。
治療費
病気や怪我の治療に要する費用、手術費用やリハビリ代も含む
入院基本料
診察や看護に要する費用の他に室料や寝具代も含む
食事代
差額ベッド代
4床以下の病室では入院料の他に全額自己負担の追加、個室や2人部屋など病室の区分により料金は異なる
先進医療費
厚生労働省が認めている高度な医療技術による治療や手術、公的医療保険の適用対象外、負担額は先進医療の種類や病院により異なり数百万円かかることも
この他にも、病院へ行くための交通費や入院中の差し入れなどの消耗品費なども必要です。
親の入院費用の自己負担額で見る相場
生命保険文化センターの「2022年度生活保障に関する調査」によると、入院時の自己負担費用は平均で約19.8万円かかっています。入院日数は平均すると約17.7日です。
入院時の自己負担費用(単位:円) 割合(単位:%)
5万円未満 9.4
5~10万円未満 26.5
10~20万円未満 33.7
20~30万円未満 11.5
30~50万円未満 10.1
50~100万円未満 5.8
100万円以上 3.0
親の入院でお金がないときの対処方法
①限度額適用認定証・高額療養費制度を申請する
親が入院することで医療費が高額になると想定される場合、限度額適用認定証を病院の窓口に提示すると、医療費を自己負担限度額までに抑えることが可能です。
高額療養費制度は、1カ月間の医療機関(薬局窓口を含む)で支払う医療費の上限額を超過したときに、超過分を支給する制度です。入院した時点で長期の入院になることが予想される場合には、早めに手続きをしておくことをおすすめします。
参考:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
②生命保険の給付金として医療保険を請求する
医療保険では、入院や所定の手術を受けたときなどに給付金を受け取ることができます。保険会社や保険商品によって異なりますが、主に以下のものが挙げられます。
※疾病入院給付金:病気や怪我などで入院したとき
※手術給付金:病気や怪我などで生命保険会社が定める所定の手術をしたとき
※通院給付金:退院後、一定期間にわたり通院が必要なとき
※特定疾病に関する給付金:特定のがん、脳卒中などのとき
※先進医療給付金:先進医療に該当する治療を受けたとき
日頃から支払っている保険の掛け金を無駄にすることがないように、契約内容を把握しておきましょう。
傷病手当金を申請する
下記により算出することが可能です。1日当たりの算出式
支給開始日の以前12カ月間の各標準報酬月額の平均額割÷30日×2/3
傷病手当金には、支給開始日から通算1年6カ月の保障があります。
①限度額適用認定証・高額療養費制度を申請する
②生命保険の給付金として医療保険を請求する
③傷病手当金を申請する
④介護認定を申請する
⑤確定申告で医療費控除を活用する
ここで解説するのは申請などが必要なものばかりです。忘れずに申請するようにしましょう。
預貯金や医療保険生命保険の状況の共有
入院直後は何かとお金が必要なため、手元にある程度現金を置いておかなければなりません。
銀行通帳と届出印は最低限必要なため、置き場所を聞いておきましょう。
また、医療保険や生命保険に加入していれば、一定以上の入院や手術に対し給付金が支給されます。どの保険に入っているのか確認するため、保険証券もすぐに用意できるようにして連絡先まで控えておけば安心です。
金融機関や保険会社からのお知らせやダイレクトメールがあれば、契約内容や電話番号などが記載されているので残しておきましょう。
両親も年を取ってきて、今後についてお金のことを含めて話をしたいけれど、中々切り出しにくいとお考えの方は多いのではないでしょうか。
医療や介護に関する希望の共有
入院することになれば、個室か大部屋かも確認しておきたいところです。入院直後は忙しくて余裕もなく、本人の希望を聞くまで手が回らないかもしれないためです。
健康保険証や介護保険被保険者証などの保管場所の共有
健康保険証は病院での支払いのときに必要です。保険適用を受けるためです。健康保険証がないと、医療費を全て負担しなければなりません。
また、介護保険被保険者証は脳血管疾患などにより介護が必要になる場合に備えて、置き場所の確認をしておきましょう。
持病の有無の再確認と服用中の薬の把握
親に持病があるかどうか、現在どんな薬を服用しているのかについては入院当時に意識のない場合も想定されます。
どんな持病があるのかを医師に伝える必要がありますが、お薬手帳があれば服薬している種類がわかります。保管場所を聞いておくと良いでしょう。
入院生活に必要なものの確認
入院生活で何が必要なのか一覧表を作成しておくとスムーズです。必要な物を忘れたために入院先と親の自宅を往復する手間を省くことができます。
不足しているものがあれば、揃えておいた方が良いでしょう。災害時の非常用持ち出し袋の中身と共通するものもあるはずです。
介護を受けるようになったときのこと
介護を受けるようになったときのことも仮定して、どのような形態を本人が望んでいるのか聞いておけば本人も家族も安心できるでしょう。
介護が必要な状態になったら?
親が病気になり、完治しなかったり、後遺症が残った場合などは介護が必要になります。
医者から介護が必要と言われた時や介護がいざ始まるという時は各地域にある介護の相談窓口、地域包括支援センターに相談にいき、要介護認定を受けるようにしましょう。
そして介護のスケジュール、どのような介護体制で親の介護をするのか、介護の専門家であるケアマネージャー、地域包括支援センター、家族・親戚と相談することが大切です。詳しくは↓↓
地域包括支援センター 全国一覧
https://i.ansinkaigo.jp/shokai/home-care/support-center
親の介護費用、お金がない場合はどうする?対処法や公的制度を紹介
親の介護費用が不足し、資金作りに悩む方は多いです。特に介護施設利用を希望する場合、在宅介護にくらべて多額の費用がかかり、介護費用の捻出は深刻な問題です。
①介護認定を申請する
介護認定を受けると介護サービスを介護保険で受けることができます。介護保険適用サービスの対象者は、要介護・要支援状態にある65歳以上の高齢者と40歳から64歳までの医療保険加入者で特定疾病の患者です。
介護保険料と国・自治体からの財源で、一定割合に応じた自己負担額のみで介護サービスを受けることが可能です。
介護保険料の負担割合は、合計所得金額と65歳以上の方の世帯人数により1~3割に設定されています。
介護認定は、有効期間が経過し更新手続きをしないと認定の効力が失われるため注意しましょう。
②確定申告で医療費控除を活用する
親が入院すれば医療費も通常より多くかかってしまいます。医療費控除は、納税者が本人または生計を一にする配偶者や他の親族のために支払った医療費が対象です。以下の計算式で金額を求めることができます。
計算式
実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金-10万円※
(※その年の総所得金額等が200万円未満であれば総所得金額などの5%の金額)
医療費控除は確定申告をすることで受けることが可能です。年末調整をしたからといって控除を受けることはできません。
参考:国税庁「医療費を支払ったとき」
高齢の親御様にまつわるお金の管理でお悩みの方は
無料相談・資料請求をご利用ください勤務先の介護休暇などの制度の確認
親の入院が長期になる場合に備えて、勤務先の介護休暇制度の確認をしておきましょう。会社独自の介護制度が用意されている場合もあります。
「育児・介護休業法」には介護休暇・介護休業・勤務時間の短縮措置が認められています。勤務先にどれくらいの期間休めるのか確認しておくと、計画的な介護休暇の取得が可能です。
また、必要な場合には休職手続きの確認もしておきましょう。
親が遠方の場合は協力してくれる人を探しておく
親と住まいが離れている方も多いかもしれません。遠距離だと親が入院したときにすぐに対応できない場合があります。
親族が近くにいれば、協力してもらうように連絡先などを改めて交換しておくことが必要です。近くに親族がいない場合には、仲の良い近所の方にお願いできれば一度連絡を取っておいた方が良いでしょう。
急に親が入院して不安なときに相談できる窓口一覧
医者
親が入院したときに備えて、下記の相談先を一覧表などにまとめておくのもおすすめです。
①医師や看護師
②病院内にある医療相談室 医療相談室は、医療ソーシャルワーカーなどが家族の悩みなどの相談を受けている病院内の機関です。病院内にとどまらず、病院外の相談先まで熟知して問題解決にあたっています。
③地域包括支援センター
自分だけで対処するのが不安な場合は専門の知識を持つ窓口に相談して、提案やサポートを受けた方が良いでしょう。医師や看護師
親のかかりつけ医や懇意にしている看護師がいれば、病院の連絡先をまとめておくのも良いかもしれません。
様々な制度や社会資源・サービスの紹介をしてくれます。他の機関とも連携しているため頼りになるところです。
地域包括支援センター 全国一覧
地域包括支援センターには、保健師や看護師など医療の専門家が在籍しています。
介護や福祉から日常の相談にも無料で対応してくれるため、親が入院して困ったときには心強い相談先になり得ます。
本人でなくても、家族も地域包括支援センターに相談することが可能です。必要に応じて行政機関のサービスの紹介も行っています。
ただし、本人が住んでいる地域の窓口に限られるため、担当の地域包括支援センターがどこなのか事前に確認しておきましょう。
介護に関する記事一覧
突然亡くなってしまったら?
起きたら親の反応がない。病院に入院していたらそのまま症状が悪化し、亡くなってしまう。高齢の親をお持ちの方はこのような事例も少なくありません。親が亡くなってしまった時は、一旦気持ちを落ち着けましょう。
そして、次のように行動してください。
①医者からすぐに死亡診断書ををもらいます
②葬儀社を決めるなど、葬儀の準備をします
③遺体の搬送をします←葬儀社にお願いできます
④お通夜・お葬式の打ち合わせをします
⑤死亡届を市町村役場に届け出をします(葬儀社に代行してもらうことも可能)
⑥火葬許可書の手続きの申請をする (葬儀社に代行してもらうことも可能)
⑦お通夜
⑧葬儀・告別式
⑨火葬
高齢の親はいつ病気を発症するか、介護が必要になるか、この世を 去るのかわかりません。親が元気なうちに以下の準備をお勧めします。
親の身の回りのものを整理しておく
親が認知症になったり、意識不明の重体など意思の疎通が効かない状態に陥ってしまうと親の周りの通帳、印鑑などがどこにあるのか子もわからなくなります。親が元気な今のうちから親の身の回りのものを整理、確認しておくようにしましょう。
①護保険証、健康保険証はどこにあるのか②親の通帳、印鑑はどこにあるのか
③のお金周りのこと(資産、借金、ローンなど)お金のことですから中々話しにくいことではありますが、「親友の親が病気で倒れて、お金が下ろせなくなり大変なことになったんだって」などの切り口から聞いてみるのがおすすめです。
無理矢理聞こうとすると関係が悪化してしまう場合も多いようなので、早いうちから親とのコミュニケーションを意識的にとり、身の回りのことを確認しておくようにしましょう。
高齢の親に緊急事態が発生した時に、自分の考えと家族・親戚との考えが全く噛み合わず、親の今後のこと、お金のこと、誰が面倒をみるかなどを巡り、揉めてしまうケースが多々あります。そうならないためにも親のことについて家族・親戚と親がまだ元気な早いうちから話し合いをしておくことが大切です。
以下の事を話し合っておく事をお勧めします。
①介護や入院したときには誰が主として親の世話を担当するのか、分担はどうするのか
②親が自分でお金の管理ができなくなった時、誰が親のお金の管理をするか
③の入院費用、介護費用の分担はどうするか
葬儀についての記事一覧
親の入院に関するよくある疑問・質問
Q 親が入院したら泊まりで付き添わなければいけませんか?
A 親が入院しても、必ずしも泊まり込みで付き添う必要はありません。入院基本料の中には看護料が含まれているためです。原則として、家族が付き添いをする必要はありません。ただし、手術を受けて容態の急変が予想されたり、認知症で治療に支障をきたすようだと泊まり込みの付き添いを求められることもあります。
Q 入院費用を家族が親の口座から下ろしても問題ありませんか?
A 入院費用は多額になる場合があるので、家族にとっては切実な問題です。入院している本人に判断能力があり、同意していれば本人以外が引き出しても問題はありません。同意を得たことの証明として委任状が必要です。金融機関によっては、電話で本人に同意しているかの意思確認をすることもあります。金融機関で必要になるのは、通帳・届出印・口座名義人の本人確認書類です。窓口を訪れる代理人が委任状を持参した上で、本人確認書類も必要です。
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まとめ:親の入院に備えて不安になる原因を少しでも減らしておこう
おわりに
親が入院した場合の急な出費に備えて、親の預貯金や医療保険・生命保険の加入状況について把握しておく必要があります。
また、親が住んでいる地域を担当する地域包括支援センターなどの相談窓口を知っていれば、不安に備えるために役立ちます。
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