親の介護について考える

いつも元気で過ごしているとおもっている親が急に入院した。という知らせをうけて驚くことがあります。退院後うちには戻れるのだろうか?誰がサポートしていけばよいのだろうか?分からないことだらけ、決めていく事だらけです。


親の介護準備、介護者が知っておきたい制度など知っていれば助かる情報はたくさんあります。


親の介護が必要になったとき、介護のためのお金や介護をする方(介護者)の仕事はどうしたらいいのでしょうか。必要な準備や知っておきたい制度について解説します。


事前に準備すべきこと

介護がはじまる前に親と話しておきたいこと


■金銭や資産の管理
介護にはお金がかかる場合があります。親の資産で充当できるのか、自分たちが支払わなければならないのかを検討するためにも、資産の管理について話をしておきましょう。

☑年金の受給額(年金手帳、年金定期便、年金振込通知書)
☑預貯蓄額株式・投資信託などの金融証券について
☑不動産資産(固定資産税・都市計画税納税通知書と合わせて)
☑加入している保険の契約内容(保険証券や支払い状況、印鑑も確認)
☑借入の有無と金額、(契約書や借用証明書、場合によっては完済証明書)

介護費用の準備
介護費用については介護保険(登録の有無確認)も給付されますが、要介護度(要確認)や収入の違いによって金額が大きく異なります。

現在の健康管理や心身の状態について
現在の病気や通院の状況、アレルギー、継続的に服用している薬などを含め、心身の状態を把握しておきましょう。病院でも確認されることが多々あります。 また、過去のけがや病歴も後遺症や再発の対策のために確認しておくことがおすすめです。

兄弟姉妹間で確認しておきたいこと


■介護に対する考え方
介護が必要になる可能性について兄弟姉妹で話し合いましょう。事前準備としては「自宅であればどのような介護ができるのか」「親と同居する意思はあるか」など、それぞれの可能性について意見を交わすことができれば十分です。

■誰が介護をするのか
誰が親の介護をするのか話し合うとき、まずはどのような役割が必要であるかを考えてみましょう。兄弟姉妹だけで介護を行うのではなく、他に方法がないのかも考えてみましょう。(ヘルパーさん・施設介護等)ほとんどの場合誰か一人で介護を行うのは不可能に近い事です。 物理的にも精神的にも一人では難しい。それを視野に入れてじっくり考えてみましょう。

「誰か一人に任せる」のではなく、「役割分担をする」といった考え方で話し合うことが重要です。

経済的負担をどう分けるか
介護の経済的負担は兄弟姉妹それぞれの経済状態によっても考え方が異なります。そこで、役割分担と経済的負担を組み合わせつつ負担が偏らないよう調整しましょう。

まずは介護保険の利用や補助金などを活用するための知識を身につけることをおすすめします。

介護保険とは | 介護保険の解説  出典:厚生労働省

介護者が知っておきたい制度、介護サービス

介護のために利用できる制度や介護保険による介護サービスについてご説明します。

高齢者支援サービスの種類
要介護者に向けた介護サービスには介護保険が適用される「介護保険サービス」、また、要介護認定の有無にかかわらず、利用できるものがあります。

■介護保険サービス

介護保険とは | 介護保険の解説  出典:厚生労働省


要介護認定を受けた方が利用できる介護保険サービスは26種類あります。これらは介護保険が適用され、利用料は1割~3割(収入により変動)のみが自己負担となります。

利用場所 種別 サービス名


自宅(居宅・在宅)  介護サービス計画を立てる ①居宅介護支援(ケアマネジメント)
②通所介護 (デイサービス)
③通所リハビリ
④地域密着型通所介護
⑤療養通所介護
⑥認知症対応型通所介護
短期間の宿泊
⑦短期入所生活介護 (ショートステイ)
⑧短期入所療養介護
自宅で利用
⑨訪問介護 (ホームヘルプ)
⑩訪問入浴
⑪訪問看護
⑫訪問リハビリ
⑬夜間対応型訪問介護
⑭定期巡回・随時対応型訪問介護看護
⑮福祉用具貸与
⑯特定福祉用具販売
訪問・通い・宿泊の複合
⑰小規模多機能型居宅介護
⑱看護小規模多機能型居宅介護
自宅(居宅・在宅)外 種別 サービス名
公的施設
⑲介護老人福祉施設
⑳介護老人保健施設
㉑介護療養型医療施設
㉒介護医療院
㉓地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護
民間施設
㉔特定施設入居者生活介護
㉕地域密着型特定施設入居者生活介護
㉖認知症対応型共同生活介護

参考:厚生労働省「公表されている介護サービスについて」をもとに作成。

介護施設の種類と選び方について知りたい方へ 介護施設の種類、違いや特徴、選び方まで 徹底解説 はこちらから

■介護保険外の介護サービス



介護保険が適用されない介護サービスもあり、その利用料は自費となります。これらは介護保険サービスでは不足する部分を補う役割もあり、「家事代行」や「訪問理・美容」なども含んでいます。要介護保険の認定を受けていない方も利用が可能です。

福祉用具の補助金制度
介護に利用する腰掛け便座や入浴補助用具(入浴用いす、浴槽用手すりなど)は「特定福祉用具商品」として購入費が介護保険給付の対象として認められているものです。

福祉用具 |厚生労働省

詳しくは厚生労働省ホームページ「福祉用具」☝上をご確認ください。

住環境を整備する補助金制度
各区市町村は介護のための住環境を整備する改修、リフォームに対する補助を行っています。詳しくは各区市町村にお問い合わせください。

住宅リフォームの支援制度 ※令和6年5月2日時点

☝☝国土交通省

介護が始まったときに相談できる機関
介護が始まったときに相談できる機関は

①介護保険課、介護福祉課、高齢介護課といった区市町村の窓口です

内容によっては地域包括支援センターを紹介される場合もあります。その他、医療機関や居宅介護支援事業所などでも相談が可能です。

②職場で受けられる介護支援制度(介護休暇、介護休業)
要介護認定を受けた家族を介護するため、介護休暇や介護休業を取得することができます。

「介護休暇」とは家族が「2週間以上にわたる常時介護が必要である状態」になった場合、その方を介護するために休暇を取ることができる制度です。通院の付き添い介護サービスの手続きの代行、ケアマネージャーとの打ち合わせなど短時間でも利用が可能です。

「介護休業」とは家族が「2週間以上にわたる常時介護が必要である状態」になった場合、その方を介護するために取得できる休暇よりも長い期間の「休業」です。

介護休暇 介護休業
取得できる日数 対象家族1人につき1年度で5日
※2人以上の場合は1年で10日 対象家族1人につき93日まで
※3回まで分割可能
賃金・給付金の有無 賃金は原則無給
※会社によっては有給休暇となる場合もある 賃金は原則無給
※条件を満たせば雇用保険の介護休業給付金制度を利用することも可能だが、その場合「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」の金額が支給される(上限あり)
申請方法 当日の申請が可能
※会社によっては申請書等の書面が必要な場合もある 開始日の2週間前までに、会社に書面で申請
介護休暇・介護休業制度を利用できる対象者 雇用期間が6カ月以上で要介護状態にある対象家族を介護している 介護休業開始予定日から数えて93日経過しても、半年は雇用契約が続く方。要介護状態にある対象家族を介護している
厚生労働省該当ページ 介護休暇について 介護休業について

介護者のための制度を知り、活用しよう

介護では家族や地域でのコミュニケーションや協力が大切です。同時に、家族だけで解決しようとしないことも非常に重要であるといえます。そこで、地域包括支援センターや福祉施設、区市町村社会福祉協議会、町会・自治会、NPO(特定非営利活動法人)、ボランティアなど外部の協力を得たり、さまざまな制度を活用するようにしましょう。

関連記事