フレイル予防 食べる
高齢者の体重減少(やせ)のリスク
高齢者の健康管理において、体重の変化はバイタルサイン(生命兆候)のひとつです。
高齢者は、加齢に伴う身体的機能(咀嚼嚥下機能、味覚感受性、消化機能など)の低下や生活環境、精神的要因などが重なると、食欲低下や食事量の減少などを招いて体重が減少しやすくなります。
健康維持のうえで肥満を防ぐという考えは一般的に広まっていますが、近年は高齢者の体重減少は健康リスクとなることが分かってきており、高齢者の体重減少を予防することの重要性が高まっています。
では、高齢者における体重減少にはどのようなリスクがあるのでしょうか。
高齢者の体重減少は基礎疾患の増悪因子となることや感染に対する免疫機能の低下、筋肉量・筋力の低下(サルコペニア)などにつながると言われています。さらに、体重減少はフレイル※の主要な要因でもあり、日常生活度(Activities of Daily Living, ADL)やQOLを低下させ、要介護のリスクとなります。
また、死亡リスクとの関連も報告されています。やせや肥満の判定に用いられる国際的な指標にBMIがあります。日本ではBMIが18.5未満は「低体重(やせ)」、18.5以上25未満は「普通体重」、25以上が「肥満」と基準が定められています。
左のグラフは高齢者(65~79歳)のBMIと全死因死亡率を示したもので、高齢者では肥満よりもやせの方が男女ともに総死亡リスクが高まることが報告されています。
さらに最近では、やせている高齢者は標準体重(BMI18.5~25未満)の人に比べて、認知症にかかるリスクが高いことが報告されました。
このように、高齢者の体重減少はADLやQOLの低下、フレイルやさまざまな疾患のリスクにもつながることから、高齢者における体重管理は重要といえます。

※フレイルとは
「要介護状態に至る前段階として位置づけられているが、身体的脆弱性のみならず精神・心理的脆弱性や社会的脆弱性などの多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態を意味する」とされています。
【参考文献】
1) A. Tamakoshi et al. “BMI and all-cause mortality among Japanese older adults: findings from the Japan collaborative cohort study.” Obesity (Silver Spring),2010,18(2),362-369.
2) 荒井秀典(編集主幹):フレイル診療ガイド2018年版
3) 公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」:高齢者の肥満とやせ
出典 ヤクルト https://institute.yakult.co.jp/feature/009/01.php
健康づくりにおいて肥満は糖尿病や動脈硬化をはじめとする心疾患や脳血管疾患など生活習慣病を引き起こします。しかし、肥満だけが病気の引き金になるのではなく、痩せすぎも健康への影響があります。
成人では国際的な標準指標であるBMI(Body Mass Index:体格指数)を用いて肥満や低栄養(やせ)などの判定を行います。自分の体重・体格を知り、太りすぎ、痩せすぎの予防につなげましょう。
BMIは〔体重(キログラム)〕÷〔身長(メートル)の2乗〕で算出される値。自分のBMIを計算してみましょう。
(例)身長160センチメートル、体重が57キログラムの方は、57÷1.6÷1.6=22.3
BMI
年齢別の理想的な体格とは
体重と疾患の関係では、男女とも標準とされるBMIが22だと肥満と関連する糖尿病、高血圧、脂質異常症などの病気に最もなりにくいといわれており、食事摂取基準2020では18歳以上で目標とするBMIの範囲を年齢ごとに定めています。
年齢別の理想的な体格
年齢(歳)
目標とするBMI
18~49 18.5~24.9
50~69 20.0~24.9
70以上 21.5~24.9
理想的な体格のためにも習慣を見直しましょう
エネルギー摂取(食事)と消費(運動)のバランスが大切です。以下の項目を習慣づけましょう。

