今すぐ始める「ひとり死」対処策 月額980円から設置できる”生存確認”センサー・宅配サービス…取り入れるべきは?

「ひとり死」は悪いことでもなんでもないです。しかし、死後、気づかれないと、いろいろ困ります。専門家がすすめる「ひとり死」を発見してもらいやすくするセーフティネット対策は? 【監修】
「ひとり死」に関して詳しい死生学・生活設計・余暇論の権威
小谷みどり氏

​小谷みどり氏 1969年大阪生まれ。奈良女子大学大学院修了。第一生命経済研究所主席研究員。專門は死生学、生活設計論、余暇論。大学、自治体などの講座で「終活」に関する講演多数。『だれが墓を守るのか』(岩波ブックレット)、『こんな風に逝きたい』(講談社)、『ひとり終活』(小学館新書)、『〈ひとり死〉時代のお葬式とお墓』(岩波新書)など。自身も7年前に夫を突然死で亡くす。立教セカンドステージ大学講座「最後まで自分らしく」を持ったことがきっかけで、配偶者に先立たれた受講生と「没イチ会」を結成。2019年よりシニア生活文化研究所を開設。


核家族化、そして生涯未婚率の上昇など、物理的に少人数、単身者世帯も増えている日本では、多くの人の死は「ひとり死」ともなりえます。一人で死ぬことは後ろめたいことでもなんでもありません。

しかし、ひとりで死を迎え、誰にも発見されぬまま長期間が経過してしまうと、遺体が腐敗し、もしも最期を本人の面影のある状態で送ってあげたいと思っている遺族や知人がいる場合には悲しませてしまいますし、ふとんや床、そして2階以上の場合は階下まで、体液がしみこむなど、のちのち遺体を片付けてくれる人を困らせることになります。

また、死後4日以上が経過した物件は「事故物件」認定されてしまい、賃貸住宅の場合は貸主に損害を与えてしまう結果になりますし、もしも遺族などに残してあげられる購入物件の場合でも、不動産の財産価値を大きく下げてしまうことになるので、あまり好ましいこととはいえません。

異臭で近所の人が異変に気付くという報道を多く目にしますが、異臭が漂う頃には遺体の腐敗が相当進んでいるので、そうなる前に、自身の死に気づいてもらえる準備をしておくべきでしょう。


■「ひとり死」への準備を始めるのに、早すぎることはない

誰にでも必ず訪れるのが「死」です。

人の死は、いつ訪れるかわからないものです。事故に遭うなど、突然亡くなる方もいれば、中高年であれば1人で暮らしているうちに体調を崩し、病に倒れることもあるかもしれません。
自分の行動や環境を自分でコントロールできる体力があるうちに、「ひとり死」に備えておく必要があります。


■「ひとり死」に気づいてもらう「セーフティネット」、何をしたらいい?

単身者の場合、職場に通っている、地域活動に定期的に参加しているといった社会参加をしている人であれば、数日間姿を見せないことで異変に気付いてもらいやすことでしょう。

しかし、会社の上司・同僚とはあくまで仕事上の関係・・・と捉える方も少なくないはず。参加している社会的なコミュニティ以外にも、遠方に住んでいる親族や友人、ないしは、定期的に自宅の様子を見てくれる存在に即座に気づいてもらえる対策をあわせて打っておくことがおすすめです。


1.   家事援助サービスや対面で受け取る宅配サービス等、定期訪問のあるサービスを使用する
家事代行サービス等を活用することで、定期的に誰かが訪問してくれる習慣ができます。
また、食品などの宅配サービスの定期契約をすることで、自身に異変があった際、宅配したものが玄関に溜まってしまう、などの異変に気付いてもらいやすくなります。新聞の配達でも、ポストに新聞が溢れていることで異変に気付いてもらえることが多いといわれます。

⽬指したいのは、 「互助」と「共⽣」の社会。         生活支援サービス「なの花ベル」




2.  「部屋の住人が生きているか」がわかるセンサーを設置する。
人が行動しているか、電気をつけたか、気温の上下などを察知でき、指定した相手のスマートフォンでその様子をリアルタイムで伺えるセンサーも今後活用が拡がるでしょう。かつ、ボタン1つで指定した親族や知り合いと通話ができる機能なども搭載されていれば、いざというときに即座に繋がり、安心感も高まります。
最近では月額980円と廉価で設置できるラシクというサービスも出てきているので、以前よりもずっとセンサーを取り入れやすくなっています。

インフィック株式会社 LASHIC(ラシク) https://lashic.jp/

月額980円と廉価で設置できるラシク

月額980円と廉価で設置できるラシク

スマートフォンで遠方からでも生存確認できる

スマートフォンで遠方からでも生存確認できる
また、既存のガスや電気の使われ方から生活パターンを把握し、異常があれば家族に知らせてくれるサービスをインフラ各社が提供していますし、トイレや寝室等のドアにつけ、長時間開閉がないと登録した電話番号に警告アナウンスを発信してくれるセンサーも。
無線通信機を内蔵した無線通信機を内蔵した象印マホービンの電気ポットでは1日2回、ポットの使用状況を連絡してくれるサービスもあります。
(月額使用料が別途3,300円かかります)

象印マホービン iポット

象印マホービン iポット

3. 郵便局のみまもりサービスの活用
郵便局は「みまもり訪問サービス」を提供しています。月に1度、郵便局社員等が自宅を訪問、30分間会話を通じて生活状況を確認し、希望した先に報告してくれます。利用料金は2,500円(税抜)です。

※みまもり訪問サービスを契約すると、 「医療」に関する相談に看護師等の専門スタッフが応えてくれる「24時間医療相談~メディカルアシスト~」や法律、税務、社会保障、介護等に関する相談、交通事故等によりケガをして入院した場合に保険金が支払われる「交通事故傷害補償制度(ご利用者さまのみ)」を無料で利用することもできます。

4.   かかりつけ医師を持つ
かかりつけの医師を持ち、自身の体調などをコンスタントに把握してもらうことで体調の悪化などに自分でも気づきやすく、死を遠ざけることそれ自体にも当然ながらつながります。また、定期的に通院していたはずの患者が来なくなることで、医師が異変に気付いてくれるというメリットがあります。

身体の疾病ごとにいろいろな病院を訪ねるより、近所の内科医等、風邪や体調不良を診てもらうレギュラーのクリニックを決めておき、症状によってその他の診療科に紹介してもらうほうが、初診料の節約になり、かつ、自身にもしものことがあったときの「センサー」役にもなってもらえるでしょう。



<参考資料> 孤独死(孤立死)の実情
出典:一般社団法人の日本少額短期保険協会 「第4回 孤独死現状レポート」

 一般社団法人の日本少額短期保険協会が、2015年4月から2019年3月までの孤独死(孤独死については、複数の定義がありますが、このレポートでは「自宅内で死亡した事実が死後判明に至った1人暮らしの人」を意味)のデータ3,392件を基にした調査を実施したところ、下記のような傾向がみられました。この調査では、一人暮らしの人が、自宅で死亡していたことが、第三者に発見された場合を「孤独死」としています。

【孤独死の男女比率】
男性のほうが孤独死しやすい傾向。そのうちの82.7%が男性で、女性は17.3%。

【孤独死の男女比率】

【孤独死の男女比率】

【孤独死の年齢分布】
年齢別の分布を見ると、男女とも「60代」が最多ですが、60代未満も4割を占め、孤立死は決して高齢者だけの問題ではありません。

【孤独死の年齢分布】

【孤独死の年齢分布】

【孤独死の原因】
孤独死の死亡原因の62%は「病死」。次に多いのが「不明」。
孤独死では自殺が「11%」を占めています。
人口動態統計に ある全死亡数の中での自殺占率1.5%に比較すると非常に高いといえます。
孤独死における自殺者の年齢階級のうち、20代~40代は、全国の自殺者の割合より高くなっています。
(孤独死における自殺者は40代まででほとんどを占め、72.8%)

【孤独死の原因】

【孤独死の原因】


【発見までの経過日数】
発見までの平均日数は17日。
「3日以内」に見つかる割合最多ですが40%にとどまり、4日以上経過してしまうケースが6割を占めるという結果に。早期発見といえる3日以内での発見は全体で40.2%、女性は47.9%と男性より9.4ポイント高い。発見まで長期間を要する割合は男性の方が高いことが伺えます。

【発見までの経過日数】

【発見までの経過日数】

【第一発見者の構成】
「親族」と「友人」といった知っている人に見つけてもらえる人はわずか「3割」。近親者がすぐに気づけないことが伺える。孤独死の第一発見者の筆頭は、賃貸住宅の管理人など「管理」をする人。ついで「福祉」や「警察」など。

【第一発見者の構成】

【第一発見者の構成】
【発見原因の構成】
孤独死が見つかる原因で一番多いのは「訪問/音信不通」。「連絡がつかないことで知り合いが訪ねて来たり、管理会社に訪問を依頼する」ことで発見されることが多い。次点が水漏れや照明の点きっぱなしといった「異臭/居室の異常」。

【発見原因の構成】

【発見原因の構成】
出典:一般社団法人日本少額短期保険協会 「第4回 孤独死現状レポート」
※協会に加入している少額短期保険会社が、契約者に支払った保険金のデータをもとに集計。



■インフィック株式会社は2020年1月より、IoTセンサーラシクの家庭設置の推進を本格始動いたしました。
今後、住宅提供企業等と連携し、ラシクの在宅需要を開拓してまいります。

 

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