意外と知られていない「妻側が亡くなるリスク」遺族年金は男女平等ではない!?

~遺族厚生年金に男女差があることを知らない人が65.6%~

ブロードマインド株式会社では保険商品のご提案の際に、生命保険が社会保障制度を補完する位置づけである点を押さえながら、保険の設計およびコンサルティングをおこなっていますが、遺族年金制度について情報提供する中で、遺族厚生年金の受給要件に男女差があることをご存知でない方が多いと感じていました。

現行の遺族厚生年金の制度は男性が主に働き、女性は夫の賃金で生活することを前提としていますが、厚生労働省のデータによると共働きの世帯が増えており※1、女性の収入が家計に与える影響も大きいと考えています。

このように、遺族厚生年金の受給要件に男女差があることを知らないことが原因で、適切な保障が持てていない方が多いのではないかと考え今回調査を行いました。

※¹出展:厚生労働省 令和4年版厚生労働白書 共働き等世帯数の年次推移

https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/21/backdata/02-01-01-03.html

  • 調査結果サマリー

<家計に関する現状整理>

共働き世帯が73.6%。夫の年収のほうが高い家庭は合計で82.8%となったものの、そのうち夫婦間の年収差300万未満の家庭が41.8%に上ることが明らかに

<保険加入の実態>

・生命保険の死亡保障額は夫の方が大きいご家庭が66.6%と過半数を超える結果に

・死亡保障額に夫婦間で差がある主な理由は「万一時の家計に与える影響が大きいから」と「大黒柱だから」

<遺族年金に対する認識>

意外と知られていない「妻側が亡くなるリスク」、遺族厚生年金に男女差があることを65.6%が「知らなかった」と回答

  • 家計に関する現状整理:共働きが当たり前、夫婦で年収差が少なく“2馬力”で家計を支える家庭が4割

配偶者の方の職業について質問したところ、会社員が58.2%と過半数を超え、公務員7%、契約社員・派遣社員・扶養外パート5.7%と続きました。上記に経営者・役員2%と医師0.7%を含めると合計で73.6%の方が「共働き」という結果となりました【図1】

また、「夫婦間でどちらの方のご年収が高いかと、おおよその年収差を教えてください」と質問をしたところ、夫の方の年収が高い家庭は合計で82.8%となったものの、そのうち夫婦間で年収差が300万円未満の”2馬力”で家計を支えているケースが41.8%に上ることが明らかになりました。【図2】

このような回答結果や女性の社会進出、90年代中頃をピークに男性側の年収水準が下がっている等の社会的背景から、共働きで家計を支える構図は一般的になっていることがうかがえます。

  • 保険加入の実態①:死亡保障額の大きさは夫>妻が6割

「生命保険の死亡保障額は夫婦でどちらの方が大きいですか?」と質問をしたところ、最多の回答が「夫の方が大きい」66.6%と過半数を超え、次いで「夫婦間で保障額に差がない」15.7%、「妻の方が大きい」9.6%、「夫婦ともに未加入」8.1%の順となりました。【図3】

また、図3の「保障額は夫婦でどちらの方が大きいか?」と年収差と保障額の差についての質問をそれぞれ掛け合わせてみたところ、年収差では年収差300万円未満の家庭でも万一時の保障額は夫の方が大きい家庭が3分の2に上ることが判明し、【図4】保障額の差では、1000万円以上の開きがある(夫側が多い)ケースが44.9%と半数近くに上りました。【図5】

  • 保険加入の実態②:死亡保障額に夫婦間で差がある理由は年収が主な要因⁉

死亡保障額に夫婦間で差があると回答された方に理由について質問したところ、「夫の方が大きい」と答えた方は「万一時の家計に与える影響が大きいから」47.3%と「大黒柱だから」42.2%が主な理由で、「特に理由はない・なんとく」も12.8%存在することが明らかになりました。【図6】

また、「妻の方が大きい」と答えた方は、最多の回答が「万一時の家計に与える影響が大きいから」22.9%、次いで「大黒柱だから」19.8%、「保険の提案を受けた際にその金額を提示されたから」17.7%の順となりました。」【図7】

これらの結果から、年収を中心に保障額を考えている方が多いことがうかがえます。

  • 遺族年金に対する認識:意外と知られていない「妻側が亡くなるリスク」、遺族厚生年金に男女差があることを65.6%が「知らなかった」と回答

「遺族厚生年金の受給額に夫婦間で差があることを知っていましたか?」※2と質問をしたところ、「はい(知っていた)」34.4%、「いいえ(知らなかった)」65.6%と回答し、3分の2近くの方が知らなかったことが判明しました。【図8】

当社でのコンサルティング事例を見ても、女性(妻側)が万一亡くなった場合の経済的影響(収入の減少・支出の増加)は大きいですが、その認識は必ずしも広まっているとは言えません。

※²以下を説明した上で質問をしました。

既婚者の遺族厚生年金の受給要件に男女差があり、同じ年収で同額の厚生年金保険料を払っている場合でも、男性が亡くなった時に比べて、女性が亡くなった時は遺族が受け取れる金額が少なくなります。(女性が亡くなった場合、夫が55歳以上でないと末子18歳以上からの遺族厚生年金が受給できず、中高齢寡婦加算は遺族が女性の場合のみ支給されるため対象外です。)

  • まとめ

今回の調査から、遺族年金の受給の要件に男女差があることを知らなかった方が65.6%ということが判明しました。また、年収差は300万円未満の2馬力で家計を支えているご夫婦が4割以上の中で、夫側の保障額を大きくしている家庭が6割を超えていることが明らかになりました。

以上を踏まえると、共働きの家庭が一般的な中で、女性(妻)側が亡くなった場合の家計に及ぼすリスクについて十分に認識されておらず、「年金・社会保障制度を補完するための民間保険」という意味合い(機能)が十分に果たされていない家庭が多い可能性も示唆されます。

適切な保障を持つためには、年収だけでなく、今後のライフプランや遺族年金をはじめとした社会保障制度の受給額を知ることも重要です。年収やご自身を含めたご家族の年齢など、ご家庭によって遺族年金を受給できる金額は全く異なりますので、男女差があることをご存知でなかった方は、ご自身が万一時の場合はご遺族がいくら受給できるのかをまず把握し、過不足なく備えることができているか今一度点検されてみてはいかがでしょうか。

  • 調査概要

調査概要:「遺族年金の男女差に関する調査」

調査方法:インターネット調査

調査期間:2023年3月27日

有効回答:全国のお子様を持つ20歳~59歳の就業している男女 1,000人

※データは小数第2位以下を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。

※本調査結果の二次利用は「出典元:ブロードマインド調べ」を記載いただきご使用ください。使用許可の確認は不要です。

  • ブロードマインド株式会社について

保険・証券・住宅ローンと複数の金融商品を横断して1社で取り扱うブロードマインドは、「金融の力を解き放つ」をパーパスに掲げ、人々のライフプラン実現をサポートする金融サービス開発カンパニーです。ワンストップ金融コンサルティング『マネプロ』や、ファイナンシャル・ウェルビーイング(経済的な幸せ)の実現をサポートする金融教育プログラム『ブロっこり』など、これまでの金融業界の既成概念に囚われないサービスを開発・提供しています。

これからもフィナンシャルパートナーとして“誰のための金融か”を問い続け、「あるべき姿の金融」を社会に実装することを目指してまいります。

会社名      :ブロードマインド株式会社(証券コード:7343)

代表者      :代表取締役社長 伊藤 清

本社所在地:〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南1-5-5 JR恵比寿ビル7F

設立         :2002年1月

事業内容   :フィナンシャルパートナーサービス事業(個人・法人向けの金融コンサルティング)

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