住宅の改修工事には、介護保険給付が受けられるものがあります。 ↓の住宅改修は、介護保険の給付が受けられます!
手すりの取り付け
転倒防止や移動する際の移乗動作を補助する目的で設置する工事に対して、介護保険の給付が受けられます。
☑玄関の手すり ☑廊下の手すり ☑階段の手すり ☑トイレの手すり ☑風呂場の手すりなど
廊下の手すりは、床からの高さが750ミリ〜850ミリを基準とし、腕をまっすぐおろした際の手首の位置への設置が理想です。
段差の解消
居住室、廊下、便所、浴室、玄関の各部屋の床の段差をなくします。敷居を高くしたり、段差にスロープを敷いたり、バスルームの床を高くして段差の解消を行います。部屋から部屋への移動においての高低差を解消できます。
滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料変更
滑り防止対策をしたり、床材を変更する住宅改修工事です。
例)畳のリビングから、板製の床に変更したり、ビニール素材の床に変更する
例)バスルームの床材を滑りやすいものからビニールなどの滑りにくい床材に変更する
例)通路の床材を滑りにくい素材で舗装する
引き戸等への扉の取り換え
もともと開き戸であったドアを、引き戸やアコーディオンカーテン、折り畳み戸に変える工事をします。
扉全体を取り替えることもありますが、ドアノブだけを変更したり、開けやすいように滑車を付けたりすることもできます。
洋式便器等への便器の取り換え
和式のトイレを洋式のトイレに変更できます。 元々洋式トイレだったとしても、洋式便器の高さを上げる「設置部分のかさ上げ工事」をすることも可能です。
和式のトイレから洋式の洗浄機能付きの洋式トイレや、暖房付き洋式トイレへ変更する工事です。しかし、すでに洋式トイレであるものを浄機能付き洋式トイレに変更する場合は、給付の対象にはなりませんので注意が必要です。
上記に付帯して必要となる住宅改修
例)「滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料変更」で床材を変更する時は、下地の壁の補強工事が必要になります。
例)手すりを付ける時は、その壁の補強の工事が必要になります。
例)バスルームやトイレの工事には、給排水設備の工事な場合があります。
例)扉を変えるために壁の柱の工事が必要な場合もあります。住居設備そのものを変更する工事が必要な場合は、介護保険給付対象の範囲が変わりますので注意が必要です。
介護保険の住宅改修の給付額は?
支給限度基準額
☑住宅改修の給付は、介護度によって支給限度額の違いはありません。生涯で最大20万円の9割(18万円)が支給されます。
☑上限の20万円を越えなければ、複数に分けて必要な時に必要な改修工事を行うことができます。
※20万円を超えた場合の費用に関しては全額自己負担になるので注意が必要です。
例)改修工事に25万の費用がかかった場合で考えます。➡20万円の1割で2万円、20万円を超えた分の5万円は自己負担なので、合計7万円が自己負担額ということになります。
☑再申請の条件として介護度が上がったとき、転居したときには再度20万円が支給されます。
例)要介護1の認定の方が要介護4以上に変更になった場合は、要介護度が3段階上がっているため、再度20万円の申請が可能です。
住宅改修費給付までの流れ
①給付の申請をする前に、まず要介護認定を受ける必要があります。
要支援1または2、要介護1から5のいずれかに認定されると、介護の度合いに関係なく、改修工事の20万円を上限に所得に応じて、介護保険給付が受けられます。
②介護保険給付の制度を利用して改修工事が行えるのは、介護保険被保険者証に記載されている住所と同じ住所のみです。そのため、一時的に身を寄せている、子どもの家や親戚の家は対象となりませんので注意が必要です。また、引っ越しなどをしている場合は、必ず住所変更をしておく必要があります。
③改修工事費は、原則償還払いとなっています。工事業者に一旦改修工事費を建て替えて支払います。
そのあと、お住いの市町村に支給申請を行って、工事費を返還してもらいます。
先に費用を払ってもらうことはできませんので、費用を用意しておく必要があります。
④住宅改修は施工業者の指定がありません。介護に詳しい優良な施工業者を選ぶ必要があります。担当のケアマネジャーとしっかりと打ち合わせをして進める必要があります。
⑤実際にどこをどのように改修するのか、費用はいくらになるのか、工事費の見積書や、図面を用意してもらいましょう。
⑥必要な書類がそろったら、事前申請をします
⑦住宅改修費事前申請書を用意し、記入します。
⑧住宅改修理由書をケアマネジャーに書いてもらいます。
救工事費の見積書を施工事業者に書いてもらいます。
⑩日付の入った改修予定箇所の写真を撮り、用意しておきます。
⑪住宅所有者の承諾書を記入します。
⑫工事の許可がでたら、工事が始まります。
⑬着工許可は、自宅かケアマネジャーへ郵送されます。
⑭工事完了後は工事事業者へ支払いをします。 ※必ず領収書をもらいましょう。
⑮工事事業者からの領収書、指定された書式の工事完了の確認書類を準備して、介護保険給付の申請をします。
⑯支給金額の決定後、指定口座へ振り込まれます。
Q.居室から屋外へ出るための玄関ではない、リビングなどから続く掃き出しスロープを設置する工事は、住宅改修の給付の対象となりますか。
A.玄関にスロープをつけるのと同じく、掃き出し窓にスロープを設置する工事も支給の対象になります。
Q.便座から立ち上がることが困難なため、既存の洋式便器の便座を高くしようと思います。
洋式便器のかさ上げをする工事・便座の高さが高い洋式便器に取り替える工事・補高便座を用いて座面の高さを高くする場合
A.すべて支給対象です。
※既存の洋式便器が古くなったために取り替える工事の場合は支給対象ではありません。ただし、当該高齢者に適した高さに取り替えるのであれば、便器の取り替えとして支給対象となります。 住宅改修ではなく、腰掛便座(洋式便器)の上に置いて高さを変えるものとして特定福祉用具購入の支給対象となります。
Q.扉そのものは変更しませんが、右開きのものを左開きに変更する工事は、自宅改修の給付の対象となりますか。
A.扉そのものを変えない場合でも、身体の状況に合わせて性能が変われば、扉の取り替えとして住宅改修の支給の対象となります。
Q.滑りの防止を図るため、床材の表面に溝をつけるなどの加工をする場合は住宅改修の支給対象になりますか。
また、階段にノンスリップを付けたり、カーペットを貼り付けたりするのは支給対象となりますか。
A.どちらも床材の変更として、支給対象となります。
ノンスリップが突き出ていたり、あまりに滑りが悪いことでつまずきの原因になることもあるため、工事には十分注意が必要です。
Q.領収書は写しでもよいですか。
A.申請時にその場で原本を確認できれば、写しでも差し支えありません。
Q.支給申請の際、添付する工事費内訳書に関して、材料費、施工費等を区別できない工事がありますが、すべて区分すべきですか。
A.工事費内訳書で、材料費、施工費等で区分しているのは、浴室、トイレ、廊下等の箇所及び数量、面積、長さ等の規模を明確にするためです。
材料費、施工費等を区分する必要はありませんが、工事の内容や、規模はわかるようにしてください。
Q.申請時に添付する必要のある改修前後の写真は日付が入っているものを、ということですが、日付機能のないカメラの場合、どのようにすればよいですか。
A.工事現場で黒板や紙に日付を記入して、写るように写真を撮ってください。
出典:厚生労働省【介護報酬に係るQ&A住宅に関する抜粋】