2024年4月から改正不動産登記法が施行され、不動産を相続してから3年以内の相続登記申請が義務付けられる事となり、正当な理由なく期限内に手続きを完了しなかった場合、10万円以下の過料(行政上の罰則)が科せられる場合があります(※1※2)。
少子高齢化社会の日本において今後も相続の発生件数は増える可能性が高いものの、適切に相続手続きを行うには専門的な知識が必要となるため、相続の当事者となった場合は、弁護士や司法書士といった専門家を頼ることを検討したほうが良いかもしれません。
そこで、「ベンナビ相続」が主体となり、相続登記の義務化に関する認知度や、手続きの状況についてアンケート調査を実施いたしました。
「ベンナビ相続」では、今後もこうした調査を実施し、相続当事者にとって有益な情報を発信することで、1人でも多くの方が適切な選択肢をとれる社会を目指してまいります。
※1令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント
https://www.moj.go.jp/content/001401146.pdf
※2 2024年に相続登記が義務化!義務化されたらこうなる をいち早く紹介
<当調査の利用に関して>
1.当調査のデータを引用・転載する場合には、「出典:ベンナビ相続」の表記をお願いいたします。
2.出典元として下記ページへのリンクをお願いいたします。
https://souzoku-pro.info/columns/survey/702/
<調査の実施概要>
調査対象①:不動産を相続したことがある20代〜60代400人
年齢割合 : 20代(3%)30代(9%)40代(19%)50代(26%)60代(43%)
調査対象②:相続を経験したことがない20代〜60代500人
年齢割合 : 20代(10%)30代(22%)40代(32%)50代(23%)60代(13%)
調査方法 : Freeasyを用いたインターネットリサーチ
調査日 : 2024年3月7日(木)
<調査サマリー>
- 不動産の相続を経験した方の64.5%は相続登記の義務化を知っているものの、相続を経験したことがない方の認知度は19.6%に留まる。
- 相続登記の義務化を知っている方の多くは、施行日前に相続した不動産も対象になることや、登記申請をしなかった場合に過料が課せられる可能性があることも知っている。
- 不動産の相続を経験したことがある方の37.8%は登記申請をしていない。
- 相続不動産の登記申請をしていない方のうち、登記申請の準備をしている方は16.6%に留まり、8割以上の方が登記申請の準備をしていない。
相続経験の有無によって、相続登記の義務化の認知度は大きく異なる
不動産の相続をしたことがある方400人を対象に、2024年4月から施行される「相続登記の義務化」について、その認知度を調査したところ、「知っている」と回答した方は64.5%となりました。
一方で、相続を経験したことがない方500人を対象に同じ質問をしたところ、「知っている」と回答した方は19.6%に留まり、8割以上の方が相続登記の義務化について認知していないことがわかりました。
不動産は相続の対象となるケースが多く、法改正の認知拡大は急務
過去に「相続を経験した方1,558人」を対象として、相続した財産を調査したところ、「家や土地などの不動産」は、「現金・預金」に次いで2番目に多かった相続財産でした。
多くの方が当事者となり得るため、「相続登記の義務化」の認知拡大は、重要な課題といえます。
※複数回答のため回答件数が回答人数と異なります
「義務化を知っている方」の多くは、法改正への理解度が高い傾向にある
「相続登記の義務化」について「知っている」と回答した方258人に対して、施行前となる「令和6年4月以前に相続した不動産であっても、相続登記されていないものは義務化の対象になることを知っていますか?」と質問したところ、57.7%が「知っている」と回答しました。
また、同様に「正当な理由がないのに、相続登記をしないとペナルティ(10万円以下の過料)が課せられる可能性があることを知っていますか?」と質問したところ、70.2%の方が「知っている」と回答しています。
相続登記の義務化について知っている方の多くは、施行日前の相続も対象になることや、過料についても認知していることがわかりました。
一方で42.3%の方は、施行日前に相続した不動産についても登記が義務化されることを知らなかったことも判明しました。
相続登記を行った割合は62.2%に留まり、多くは司法書士へ依頼した
不動産の相続を経験したことがある方400人のうち、「相続登記」をしたかどうか調査したところ、「相続登記をした」と回答した方は249人である62.2%に留まり、37.8%の方は「していない」との回答でした。
続いて「相続登記をした」と回答した方249人に対して、「相続登記の手続きについて、どなたがしましたか?」と質問したところ、76.7%が「司法書士」と回答。一方で、17.3%の方は「自分」で相続登記をしたこともわかりました。
相続登記に向けて準備をしている方は16.6%に留まる
他方で、上記で「相続登記」を「していない」と回答した151人に対して、「相続登記の手続きに向けて、準備はしていますか?」と質問したところ、83.4%に当たる126人が「していない」と回答しました。
また同じ方を対象として「相続登記の手続きについて、誰かに相談しましたか?」と質問したところ、113人の方が「相談していない」と回答しており、相続登記をしていない方の多くが準備や相談をできていないことがわかります。
「司法書士」「弁護士」「行政の窓口」といった専門家や専門機関に相談しているといった回答は、合計しても27件に留まりました。
相続登記の「準備をしている方」と「していない方」だけではなく、「準備はしていないものの、誰かに相談をしている」という方もいるため、三者三様の結果となっています。
※複数回答のため回答件数が回答人数と異なります
●調査結果のまとめ
今回の調査では、「相続登記の義務化」について、不動産の相続を経験したことがある方の認知度は高かった一方で、相続を経験したことがない方の認知度は低いことがわかりました。
相続は誰しもが当事者になり得るライフイベントであるため、本調査を通じて「相続登記の義務」を知った方は、是非家族で話し合いの機会を設けたり、弁護士や司法書士、行政の窓口といった専門家や専門機関へ相談したり、事前の準備を検討してみてください。
また、施行日より前に不動産を相続しており、相続登記を行っていない方の場合は2027年3月31日または不動産を相続したことを知ったときのいずれか遅い日から3年以内に相続登記をする必要があるため、この場合も、早期に専門家や専門機関への相談を検討する必要があるでしょう。
「ベンナビ相続」では、これからもこうした調査・情報発信をすることで、1人でも多くの方が、相続において適切な選択肢をとれるようにサポートしてまいります。
■当調査の掲載記事
家や土地を相続したら「相続登記」が義務に!相続経験ない方の約80%が「知らない」
調査サイト:https://souzoku-pro.info/columns/survey/702/
■「ベンナビ相続」について
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■株式会社アシロ 概要
・代表者 : 代表取締役 中山 博登
・所在地 : 東京都新宿区西新宿6丁目3番1号 新宿アイランドウイング4F
・資本金 :608百万円(2024年1月末現在)
・設立 : 2016年4月
・従業員数: 96名(2024年1月末時点)※連結子会社を含む
・事業内容:
―インターネット上で法律情報や弁護士情報等を提供する「リーガルメディア関連事業」
―弁護士等の士業や管理部門に特化した人材紹介サービスを提供する「HR 事業」
・サイトURL:https://asiro.co.jp