父はなくなり、母が施設に入居しており、実家が3年ほど空き家になっています。 最近多い豪雨や地震などでご近所に迷惑をかけないか、不審者が住み着いたりしたりしないかなど、心配です。 私たちは、それぞれ持ち家があるため今後も住まないと思います。しかし、母が住んでいた時のまま荷物を放置したまま3年が経ちました。 どうしたらいいか教えてください。
空き家のメリット
実家を空き家のままにしておくメリットは、思い出のつまったままにしておける事、住宅用地特例により更地にするよりも固定資産税を安く抑えられるという点でしょう。
空き家のデメリット
ご心配の通り近所に迷惑がかかります
老朽化した屋根や外壁、手入れされていない庭木が、台風や強風などの際に崩れたり折れたりしてしまう可能性があります。最悪の場合には建物自体が倒壊してしまうことも。周囲の建物などを損傷したり、他人をケガさせたりすることで、損害賠償が生じてしまうかもしれません。 また、不審者が入る、不法投棄が増える、タバコのポイ捨てから火事になってしまったりするかもしれません。売却を考えている場合、家の管理や換気が不十分なまま放置してしまうと、老朽化が進んでしまい、資産価値が下がってしまいます。
固定資産税を抑えられるのは、適切に管理されている空き家だけです。2015(平成27)年5月26日に施行された「空き家対策特別措置法」により、適切な管理がされておらず、周囲への影響が大きい空き家を、「特定空き家」と定義されました。
① 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③ 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
④ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にある空家等をいう。(2 条 2 項)
(引用元)国土交通省 空家等対策の推進に関する特別措置法の概要
特定空き家に指定されると、行政が介入できるようになります。状況を改善するように市町村長から助言や指導がなされます。それに従わない場合には勧告がなされ、固定資産税の優遇措置が受けられなくなってしまいます。さらに従わないと、命令がなされて50万円以下の罰金が科せられ、最終的には行政代執行手続きによって強制解体がなされます。その際にかかった費用は、所有者が支払わなくてはなりません。
空き家の管理でかかる費用
☑空き家の土地と建物には、それぞれに固定資産税がかかります。 適切に管理された空き家であれば、住宅用地特例が適用されて、土地にかかる固定資産税は最大で6分の1になります。 ☑市街化区域内であれば都市計画税がかかります。
☑空き家を放置してしまい、周囲に大きな影響を与える危険性が出てくると、「特定空き家」に指定されてしまいます。 ☑建物の屋根や外壁、内装、水回りなどのメンテナンスや修繕、庭などの初期修繕と定期修繕が必要です。 ☑火災や自然災害で近隣に被害を及ぼしてしまうことを考えて、火災保険などの各種保険には入っておいたほうが良いでしょう。
☑空き家になった状態の実家でも、時々片づけに訪れたり、家族で集まったりするのであれば、電気や水道が使えるようにしておく必要があるでしょう。電気代や水道代は、実際に使っていなくても基本使用料がかかります。
空き家の対策方法とは
それでは、実家が空き家となってしまったらどうしたらいいのでしょうか。
売却する
建物ごと売却してしまうという方法があります。空き家の期間が長くなると、家が傷んで買い手が見つからなくなってしまうため、できるだけ早めに売ってしまいたいものです。空き家が複数の相続人の共同名義になっているケースでは、名義人の誰か一人でも反対してしまうと売却できません。 住まなくなってから3年目の12月31日までに売ると、居住用住宅の特別控除が適用されるので、売却益から最高で3,000万円までの控除が受けられます。 また、親が実家を10年以上所有している場合に受けられる軽減税率もあります。いずれも条件が定められているので、税理士などに相談をするといいでしょう。
空き家情報バンクを利用しましょう
空き家情報バンクとは、空き家の所有者で賃貸や売買を希望している人が空き家情報を登録し、移住を考えている方などにインターネットなどを通じて紹介する仕組みのことです。 各自治体が運営しています。詳しくは、市区町村の都市計画や住宅、移住に関連する課にお問い合わせください。上記の他にも、NPO法人や不動産業者が提供している空き家管理サービスもあります。
アットホーム 空き家バンク TOPページ |
https://www.akiya-athome.jp |
更地にする
住宅の管理が難しい場合、特定空き家に指定される前に更地にしてしまう方が、近隣に迷惑をかけずに済むでしょう。また、土地の売却もしやすくなるかもしれません。多くの自治体には、空き家の解体に対して30万円~100万円程度の費用補助制度があります。ただし、解体助成金を受け取るには、自治体ごとに一定の要件があります。自治体ごとに違うため、各自治体の「建築安全課」や「都市整備部局」などの窓口に相談してみてください。
賃貸にする
空き家のままにしておくと家が傷んでしまいます。将来的に住むつもりがあるのなら、賃貸にするほうが良いでしょう。期限付きで賃貸に出す「定期借家契約」という方法もあります。 詳しくは不動産業者に相談ください。 複数の不動産会社に相談し、賃貸の収支見込、リフォーム費用、維持コストなどを聞いてみるといいでしょう。
資産を守るためにも、長年親しくしてきた近隣の住民の方とのトラブルを避けるためにも、しっかりと空き家対策をしたいところです。売却する、人に貸す、更地にする…など、早いうちから家族間で話し合っておきましょう。