現代日本は65歳以上の人口割合が、全人口に対して21%を超えている「超高齢社会」に突入しており、シニア層が直面しているさまざまな課題については多くの報道がなされています。
「健康問題」や「社会的孤立」など、自分の家族に関係してくるかもしれない話題も多く、「自分の両親は大丈夫なのだろうか」といったように遠く離れた場所に住む家族を日々心配されている方も多いのではないでしょうか。
そのような状況を受け、”ワイモバイル”はシニアが直面する社会問題の解決を目指し、「健康にスマ歩!」というスローガンを掲げ、60歳以上の健康維持活動をサポートするアクティベーション施策への取り組みを始めています。
コロナ禍において外出機会が減り、それに伴い運動の機会が減ったことで病気ではないけれども年齢とともに筋力や心身の活力が低下し、フレイル状態(要介護状態と健康の間に位置して、身体や認知機能が低下した虚弱状態)に陥るリスクが高まっているシニア層が増加しています。
今回ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、コロナ禍においてどのようなライフスタイルを過ごしていた方が健康状態を維持し、逆にどのようなライフスタイルを過ごしていた方が「フレイルリスクが高い状態」となっているのかを調査するべく、60歳以上のシニア1000名に対して、健康チェックとライフスタイルに関するアンケートを実施しました。
【調査結果サマリー】
■フレイルリスクが低いシニアに比べ、フレイルリスクが高いシニアは「日常的な楽しみがない」と感じている、その数は約5倍以上にのぼることが判明!
■フレイルリスクが高いシニアの約半数が、家族以外の知人と1カ月以上も会わない生活を送っていることが判明!
■フレイルリスクが高いシニアの約4人に1人以上が、「外出するのが億劫で、必要最低限しか出かけない」生活を送っている!
■フレイルリスクの高いシニアの3人に1人以上がアフターコロナに近づきつつある中「特にない・やりたいことがわからない」と回答。
【調査概要】
〈シニア世代の健康に関する調査〉
調査名:「シニア世代の健康に関する調査」
調査期間:2023年2月25日(土)~ 26日(日)
調査対象:全国の60歳~79歳 男女1000人
調査方法:ウェブ定量調査
身体的・精神的・社会的の3つの面を評価できる11項目の質問からなる「イレブンチェック」と、
コロナ禍におけるライフスタイルに関するウェブアンケートを実施。
「イレブンチェック」にてマイナス面寄りの回答量によりグルーピング。
①マイナス回答0~3 ②マイナス回答4~5 ③マイナス回答6~11
※①は健康、③はフレイルリスクが高い状態
互いの層でコロナ禍におけるライフスタイルはどのような違いがあったのかを検証。
【イレブンチェック 引用元】東京大学高齢社会総合研究機構・飯島勝矢 「フレイル予防ハンドブック」より引用
【調査結果】
今回の調査にご協力いただいた60歳以上の方々の6割近くが「フレイルリスクが比較的高い傾向にある」ことが判明!また、運動不足だけがフレイルリスクを高めるのではなく、「コミュニケーション量の低下」や「意欲の低下」も大きくフレイルリスクに影響していることも明らかに。
調査の結果、回答者全体の31.7%が「フレイルリスクが高い状態」、全体の26.1%が「中程度のリスクを抱えている状態」という結果となり、計6割近くがフレイルリスクが比較的高い傾向にあることがわかりました。
また「フレイルリスクが高い状態」にあるシニアを年齢/性別で分析すると、特に60代の男性がフレイルリスクが高い傾向にあることがわかりました。
■フレイルリスクが低いシニアに比べ、フレイルリスクが高いシニアは「日常的な楽しみがない」と感じている、その数は約5倍以上にのぼることが判明!
シニア1000名に「日常的な楽しみと思うもの」についてアンケートを行ったところ、フレイルリスクの高いシニアのうち約16%が「特にない」と回答。フレイルリスクが低いシニアの結果と比べると、比率として約5倍ほどの大きな差が出ていることが分かりました。
またフレイルリスクの低いシニアの共通点として、「友人と会話」などのコミュニケーション機会や、「スポーツ」「食品日用品以外の買い物」といった外出機会を、フレイルリスクの高いシニアよりも多く【日常的な楽しみ】として捉えている傾向があることがわかりました。
【コミュニケーション機会が少ないほど、フレイルリスクが高まる傾向がある】
■フレイルリスクが高いシニアの約半数(48.9%)が、家族以外の知人と1カ月以上も会わない生活を送っていることが判明!
フレイルリスクの低いシニアの3人に1人が「週に3回以上家族以外の知人と会っている」ことと比較すると、家族外との交流頻度に大きな違いがあることがわかります。
「現在参加しているもの」について、フレイルリスクの高いシニアの中で「ボランティアなどの地域交流の場」や「趣味やスポーツで繋がるコミュニティ」へ参加している方の割合は、フレイルリスクの低いシニアの3分の1程度であることがわかりました。
【外出頻度が少ない方ほど、フレイルリスクが高まる傾向がある】
■フレイルリスクが高いシニアの約4人に1人以上が、「外出するのが億劫で、必要最低限しか出かけない」生活を送っている!
「外出について」のアンケート結果をみると、フレイルリスクの高いシニアはフレイルリスクの低いシニアに比べて用事を作った上での外出機会が圧倒的に少なく、外出に対してのモチベーションも格段と低くなっている傾向があることがわかります。
「家族以外の知人の会う頻度」など、コミュニケーションの機会が少ないことで、外出への意向も下がり、必要最低限しか出かけない生活を送ってしまっていることが、結果的にフレイルリスクを高めることにも繋がっていると考えられます。
【フレイルリスクの高いシニアは、「楽しみを見つける意欲」がなくなっている傾向がある】
■フレイルリスクの低いシニアの約半数が「やることがたくさんあって充実している」一方、フレイルリスクの高いシニアの3人に1人が「億劫だったり面倒くさいと感じることが多い」。
「最近の気分について」のアンケート結果をみると、フレイルリスクの低いシニアの中で「何かしようと思っても中々動き出せない」「億劫だったり、面倒くさいと感じることが多い」「気力がわかない」と回答しているのは20人に1人程度であり、フレイルリスクのレベルによってメンタル面においても大きな違いが出ていることが見受けられます。
■フレイルリスクの高いシニアの3人に1人以上がアフターコロナに近づきつつある中「特にない・やりたいことがわからない」と回答。
2023年5月8日(月)より、新型コロナウイルスの感染法上の分類は季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられることが決定しました。「5類に分類されたあとにやりたいこと」についてアンケートを行い、フレイルリスクが高いシニアと低いシニアでどのような意識の違いがあるのか調査しました。
フレイルリスクの高低に関わらず、「国内旅行」についてはどちらも半数近くが意欲を示しており、フレイルリスクが低いシニアはその他に「友人や家族との食事会」や「コンサートや美術館に行く」ことにも高い意欲を示している傾向があることがわかります。
一方で、フレイルリスクの高いシニアの3人に1人以上がアフターコロナが近づきつつある中「特にない・やりたいことがわからない」と回答。外出することに「億劫さ」を感じているシニアが多いという結果も出ていましたが、そのような気分を抱え続けることによって、アフターコロナ以降への楽しみを見つける意欲が湧かなくなってしまっていることが考えられます。
■フレイルリスクが低いシニアのライフスタイルは「楽しみを自主的に見つけていく意欲」が高い傾向がある。
日々の過ごし方がフレイルリスクにどう影響するかを調べるために、シニアの「ライフスタイル」に関するアンケート調査を実施しました。
フレイルリスクの低いシニアの5人に1人が「近所に友達がいて一緒に遊ぶことが多い」と回答した一方、フレイルリスクの高いシニアでは20人に1人程度と、比率として大きな差が出ていることが判明。
またフレイルリスクの低いシニアの共通点として「毎日欠かさず行っている日課がある」「日頃スマホを使って調べ物や連絡を取り合っている」「電話やインターネットSNSでやり取りしている友人がいる」というライフスタイルを過ごしていることが見受けられました。
このようにフレイルリスクの高いシニアが日常に「億劫さ」や「面倒」を感じている傾向がある一方で、フレイルリスクの低いシニアは自主的に友人との交流機会を創り、継続して行っていることがあり、様々なことに興味関心を抱いているといった「日常に楽しみを自主的に見つけていく意欲」が高いライフスタイルを送っていることがわかりました。
<調査結果を受けて>
フレイルリスクが高いシニアの傾向として「運動不足」だけではなく、「交流機会や外出頻度が少なくなっていき、その結果様々なことへの意欲が薄れてしまっている」という課題もあることが調査によって明らかになりました。そのような方々にただ「歩きましょう」と伝えても、前提として外出する意欲を失ってしまっているため、フレイルリスクの高い状態からなかなか脱せないことが予想されます。意欲を失ってしまった方々の意欲を取り戻したり、継続して外出・運動したくなるような仕掛けを、各々に任せるのではなく外部からサポートすることが、今後のフレイル対策に必要になってくると考えられます。
■フレイル対策の専門家 筑波大学 山田実教授による解説
フレイル対策の専門家、筑波大学山田実教授にフレイル状態に陥りやすい生活スタイルや、フレイル対策の方法などについてお話を伺いました。
筑波大学 山田実教授
神戸大学大学院医学系研究科にて学位取得後、
2008年より京都大学大学院医学研究科助手、
2010年同大学院助教、2014年筑波大学人間系准教授を経て、
2019年同大学教授に就任。専門分野は老年学。日本老年療法学会副理事長、日本サルコペニア・フレイル学会理事、日本転倒予防学会理事、日本予防理学療法学会理事、日本老年医学会代議員、日本体力医学会評議委員など。
・将来的に「フレイル状態」に陥りやすい生活スタイルとはどのようなものなのでしょうか?
一つは「動かなくなった方」です。もう一つは「交流を十分にできなくなった方」というのがその後フレイルの状態にかなりなりやすいということがわかっています。コロナ禍で歩数が大きく下がり動かなくなってしまうことで社会への交流機会も平行して乏しくなっていき、その結果フレイルの状態に陥りやすいと考えられています。
・フレイル対策の方法として、どのようなものがありますか?
研究の中で分かっていることは、「運動」「栄養」「社会参加」という3つの要素が非常に重要ということです。「運動」はもちろん、「栄養」は特にタンパク質をしっかり摂取することが重要と言われています。また人との交流をしっかり取っていくことも結果としてフレイル対策に繋がっていくと考えられています。
例えば「運動していないからしたほうがいい」と無理をしてフレイル対策をしていくというのは長続きさせるのが非常に難しいため、無意識で行えるフレイル対策を推奨しています。無意識でのフレイル対策というのは、生活の中で様々な楽しみを見つけて積極的に外に出て行っていただくといったことを指します。外出することで結果的に身体を動かし、お腹も空くので栄養も摂取することになり、無意識のままフレイル対策ができている状態に近づけると考えています。
・フレイル対策を全国的な取り組みとしていくにあたり、どのような課題がありますか?
-地域の高齢者の方が主体的に集まってグループ活動を行っていくといった、外出の動機となる自治体レベルでの「通いの場」がフレイル対策として非常に効果があると考えられていますが、コロナ禍で非常に活動がしにくい状態であるなど、なかなかそのような活動が広がらないという課題があります。またそのような地域の活動の場に参加できる方はあくまでまだごく一部であるので、それ以外の方々がどのような形で健康維持に努めていけばいいのかということをいかに周知させるか、いかにご理解させるかというところが大きな課題となっています。
■フレイル対策に向けてのワイモバイルの取り組み
山田教授の解説にもあったように、無理をして運動するのではなく、生活の中で様々な楽しみを見つけて積極的に外に出て行くといったような「無意識で行えるフレイル対策」をしていくことが、重要なポイントとなります。
ソフトバンクは「無意識で行えるフレイル対策」をサポートするべく、シニアの運動習慣を楽しくサポートするアプリ「うごくま」を搭載した、スマホデビュー向けスマートフォン“かんたんスマホシリーズ”の新商品「かんたんスマホ3」が全国の”ワイモバイル”取り扱い店舗にて発売中です。
「うごくま」には日々のウォーキングを楽しく応援してくれる機能が充実しております。「かんたんスマホ3」とのウォーキングが生活の中での楽しみとなり、外出やウォーキングの機会が増えることで人々との交流機会も増え、運動不足のみならず、日々の意欲向上にも貢献できる新スマートフォンとなっています。
【新商品「かんたんスマホ3」について】
操作などで困った際に「サポート」ボタンを押すだけでスマホが問題を自己解決してくれる【押すだけサポート】や、抗菌と抗ウイルス両方に対応したボディを導入するなど、60歳以上の方々にスマートフォンを毎日安全に楽しく使っていただけるようさまざまな機能を充実させてきた”ワイモバイル”の「かんたんスマホシリーズ」。
今回発売開始する「かんたんスマホ3」は、近年問題視されているシニアの「フレイル状態(要介護状態と健康の間に位置して、身体や認知機能が低下した虚弱状態)」を対策するべく、これまでの使いやすさや安全性に加え、運動習慣をサポートする機能も兼ね備えた新商品となっております。
●フレイル対策サポートアプリ「うごくま」を搭載
歩数や消費カロリーの計測ができるほか、キャラクターとの会話で
ウォーキングを楽しみながら習慣化できます。 ※商品写真および画面 ・ 画像・イラストはイメージです。
うごくまを使用したウォーキングを一定期間体験いただいたことで、歩数の増加を実感する方が多数いらっしゃったり、「歩くことへの気持ちの変化」という点では71%の方が前向きになったと、うごくまを利用することでの外出や運動習慣への意識向上が期待できます。
※実施期間:2022年6月~9月埼玉県ふじみ野市でのうごくま実証実験アンケート(n=57)ソフトバンク調べ
【自治体との取り組みに関して】
スマホデビューの方向けスマートフォンの開発など、シニアの生活をサポートする取り組みを行っている”ワイモバイル”は、シニアがスマートフォンを使って運動を習慣化できるよう、「健康にスマ歩!」というキーフレーズを世の中に発信し、各自治体などと連携して「健康にスマ歩!」を日本中に広がるムーブメントにしていく活動を開始しています。
その活動の第一弾として、”ワイモバイル”が開発したシニアの運動習慣をサポートするアプリ「うごくま」を埼玉県ふじみ野市のシニアの方々に一定期間体験いただき、使用前と使用後での健康の変化について調査する実証実験を実施。2023年1月30日(月)には実証実験にご参加いただいた方々をお招きし、実験の報告会を行いました。
<実証実験報告会の様子>
2023年3月4日(土)にはふじみ野市・文京学院大学・ソフトバンク協業の産学官プロジェクトとして、「高齢者向けスマホ教室」を開催。文京学院大学地域連携センター「BICS」所属の学生ボランティアがふじみ野市のシニアの方々と同じテーブルに座り、スマホの基本操作や「うごくま」のインストール・初期設定の方法について1対1で丁寧にレクチャーするスマホ教室となっており、終了後には「大学生と楽しく会話しながらわかりやすくスマホの様々な疑問点が解決できた」と感想をいただくなど、イベントは大盛況で幕を閉じました。
<スマホ教室の様子>
”ワイモバイル”は今後とも高齢者の方が使いやすいスマートフォンや魅力的な料金プランという点は引き続き展開していくとともに、「スマホを健康にも利用できる」「スマホを使うことで地域での新たな繋がりができる」ということを多くの方に知っていただくべく、自治体との連携を広げてまいります。
〈今回実証実験・シニア向けスマホ教室を主宰したふじみ野市担当者の声〉
ふじみ野市につきましては現在、高齢化率が25%、約4人に1人が65歳以上の人口構成になっております。今後10年で後期高齢者の方が急速に増えていくと考えております。10年後15年後を見据えた取り組みとして今からフレイル予防に関する施策に取り組んでいくことが重要と考えております。コロナ禍において外出ができないなど様々な課題が出ている中、身体を動かすことを習慣化できることが重要と考えておりますので、今回のソフトバンク様の実証実験にご協力できたことは非常に意義のある事だと思っています。
埼玉県ふじみ野市 福祉部 高齢福祉課
課長 仲野公堅さん
〈ソフトバンク株式会社 「うごくま」開発担当者〉
UX企画部ではスマートフォン利用者のお困りごと・課題に実際に寄り添って解決していくことを目指しております。高齢化社会の現在、介護医療費などの社会課題解決に役立つアプリを開発するべきという観点で今回の「うごくま」を開発しました。「うごくま」を使っていただくことで定期的にスマホをチェックする習慣をつけていただくことで、フレイル対策のみならず、シニアの方々にスマホをより身近に日常的により活用して頂くことで、スマホを使うことへの抵抗感が少しでも軽減できればと考えております。