お年を重ねるごとに服用する薬の量が増えている方は少なくありません。
受信も時間がかかるけど、いつも同じお薬を持って帰るだけ。その都度仕事を休んで父を病院に連れて行くのがちょっと苦痛です。父は膝を痛めてしまって、自力ではちょっと難しい。
そんな時は「訪問診療」や「薬剤師訪問サービス」の利用がおすすめです。介医師が高齢者の自宅を定期的に訪れ診察することを言います。頻度は大体1〜2週間に1度となります。
薬の処方だけでなく、簡単な検査などの医療行為を行う事ができます。
訪問診療に関して、詳しくはこちらの記事をご参照ください。
訪問診療は医療保険が適応となります。ちなみに、往診も同様に医療保険が適応です。
そのため高額療養費制度を利用する事も可能で、医療費が高額になってしまう場合はお持ちの被保険者証に記載の保険者まで相談をしてみましょう。医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1ヶ月(歴月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する「高額療養費制度」があります。
そのほか家事援助やスキルマーケットで病院の送迎をお願いすることも可能です。
通院介助は自費サービスになることも少なくありません。また、外出介助でも「え、これ介護保険が適用されないの!?」といったことはよくあります。通院介助は介護保険が適用される、と思い込んでいませんでしたか?
通院介助とは、「利用者さんが医療機関に通院するための移動の介助」を指します。
通常、この通院介助は、介護保険制度のなかでは訪問介護の職員(ヘルパー)が行うサービスとなっていますが、介護保険のサービス(保険給付)として通院介助を利用・実施するには、いくつかの条件があるとともに、市町村によって対応が分かれることもあります。
要支援者の場合
要支援1~2の認定を受けた利用者さんは、介護保険制度のサービスとして通院介助を実施することが非常に困難です。要支援1~2の方の訪問介護は、介護保険制度の予防給付ではなく、市町村事業の介護予防・日常生活支援総合事業(以下「総合事業」)で実施されるためです。 要支援などの軽度の状態の高齢者であれば、外出そのものは自分でできるケースも多く、通院介助をヘルパーが行うということが認められにくいという側面があります。 また、その可否の判断は市町村によって異なることも多いのが実情です。 したがって、要支援者・事業該当者の方は、ケアプランを作成してくれる地域包括支援センターや市町村の担当者に通院介助を訪問介護で利用できるかどうか、あらかじめの相談・照会が必要でしょう。
要介護者の場合
要介護1~5の認定を受けている場合であれば、区分支給限度基準額の範囲内で比較的自由にケアプランが作成できますので、通院介助をヘルパーに頼むことは、要支援者や総合事業対象者の場合よりも利用は容易可能です。ただし、そもそも訪問介護は、利用者の「自宅のなか」でのサービス提供を想定しています。そのため、屋外の移動などの介助が主となる通院介助には、さまざまな制約があります。通院介助は、このうち「身体介護」にあたります。
ここでポイントなのが、「身体介護」は、体に触ったり、手を貸せるように見守る介助であることが算定の基準となっています。通院介助については、詳細な厚生労働省の通知によると、次のような業務を指すものと規定されています。
【1-3-3 通院・外出介助】声かけ・説明→目的地(病院等)に行くための準備→バス等の交通機関への乗降→気分の確認→受診等の手続き
(場合により)院内の移動等の介助
老計第10号「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について』よりこの内容以外の行為は原則として訪問介護の通院介助では実施することができません。
※「この内容以外」とは、例えば移動中の介助や診察待ちの時間の付き添いが該当します。また、院内の移動の介助にも制約があります。これはできる。これはできないでは、お願いするにもお願いしにくい。 よくあるQ&Aを参考にしてください。
Q1:通院介助の移動中は介護保険の適用外?
A:移動手段や自立度によっても異なります。病院に行くとき、車椅子をヘルパーが押す、もしくは利用者が歩いているのをヘルパーが転倒しないように横で見守る(支える)のであれば「身体介護」になり、その時間は介護保険として算定できます。しかし、家を出てすぐタクシーに乗るということであれば、乗車中は「身体介護」として算定することができません。公共交通機関を利用しているときも、利用者が座っていて特に介助が必要なければ、介護保険として請求することができません。また、そもそも1人で歩くことができて何の問題もないのであれば、一緒に歩いていても算定外です。
Q2:病院のなかの介助は介護保険の適用外?
A:病院のなかでの介助内容によります。例えば、トイレや移動時の介助については介護保険の適用となり、介護報酬も算定可能です。病院内の付き添いも、介護保険が適用され介護報酬が算定できるのは介助が発生しているときだけになります。そして、その前提として、そもそも病院内の移動などの介助は「介護保険」ではなく「医療保険」の範疇であり、医療機関側が行うべきという考え方になります。そのため、どの病院でもヘルパーが「介護保険」で院内介助ができるとは限りません。あくまでも、病院のスタッフが介助できない場合だけ、ヘルパーが「介護保険」として算定することが可能となります(ただし、都道府県や市町村によって判断は異なります)ので、ケアマネさんにお問合せください。
Q3:ヘルパーの交通費は誰が負担する?
A:利用者さんが負担します。公共交通機関などを利用して通院介助を行う場合、ヘルパーの交通費は利用者さんが負担するのが基本です。ただし、これは介護保険制度で決まっているわけではなく、訪問介護の事業所がそれぞれの対応方法を定め、それを事業所が事前に書面などで説明します(※自費サービスの内容や時間も同様です)。
Q4:介護タクシーは保険適用されるのですか?
A:介護タクシーの運賃に、介護保険は適用されません。また、基本的には移動中の介助にも介護保険は適用されません。「介護タクシーは介護保険が使える」と思っている介護職の方も少なくありませんので、上記はぜひ頭に入れておきましょう。介護タクシーは、介護を必要とする人を乗せる器械を装備していたりする分、料金が一般的なタクシーよりも割り増しになっているケースがあります。もし普通のタクシーで事足りる方なら、そちらの利用も検討しましょう。
Q5:寄り道は介護保険の適用外なのですか?
A:原則は適用外です。市町村によって詳細は異なるので、事前に確認しましょう。通院のついでに買い物や銀行に寄ってもいいのではないか、と考える利用者さんも多いかと思いますが、介護保険制度では、通院介助の際の「寄り道」は認められていません。市町村によっては、通院後に、処方された薬を薬局に取りに行く場合のみ許可されているケースもあります。市町村によって考え方は違うので、帰り道にどこかに寄ろうとするなら、ケアマネジャーがあらかじめ必ず市町村に確認しておくことが必要です。
Q6:新型コロナのワクチン接種のための外出介助は介護保険が適用される?
A:訪問介護を利用して、新型コロナウイルス感染症のためのワクチン接種に行く場合、介護保険が適用されます。ただし、移動手段によっても適用範囲が異なるため注意しましょう。
Q7:散髪
A:利用者さんやご家族から、「ヘルパーに散髪に連れて行ってほしい」と希望されることばよくあります。しかし、散髪は、訪問理美容もしくは散髪が来るデイサービスを利用が推奨されており、厚労省のQ&Aでも認めないと明言されています。
Q8:補聴器・老眼鏡の購入
補聴器を作りに行くのにヘルパーの連れて行ってほしいという希望があったときについても、判断は市町村に委ねられます。医師の指示がある場合は認められるケースもあるようです。老眼鏡を作り直すことについても、市町村によって見解が違います。そのため、必ずケアマネジャーが確認します。
Q9:散歩
基本的には散歩の同行も認められていません。ただし、認知症で徘徊される方への付き添いは、一定の条件下で算定できるのが一般的です。まずはケアマネジャーに確認してください。
上記のように規定が多い介護保険ですが、介護保険外でもお願いできるサービスもあるので検討してみてください。